金融と原発を巡る規制の問題 安田 正敏
金融と原発に対する規制が不十分であったことには共通する原因が存在しています。それらはいずれの業界も政府や行政に対する強い影響力を持っていること、また金融においても原発においても規制の対象が規制当局のブラックボックスになっていたことなどです。
取締役会議事録について(2) 安田 正敏
取締役会と経営会議の区別がついていないことが多い日本の企業では、議長(社長)が取締役会で業務遂行上の指示・示達を他の取締役に対して出すことは日常茶飯事のことのようですが、これを取締役会議事録の内容にすることは妥当ではありません。事務局としてあるがままの議論を残しておくことを優先するのであれば、取締役会議事録とは別に、取締役会付随メモのようなかたちの社内文書を残しておくこともひとつの方法ではないでしょうか。
IT内部統制の破綻とコーポレートガバナンス 安田 正敏
IT内部統制の破綻の背後にはコーポレートガバナンスに影響を与える組織のあり方や企業風土が見えてきます。みずほ銀行のシステム障害の奥深い原因は豊富な人材を活かしきれない組織の硬直性にあるような気がします。
ステイクホルダーに係るリスクの非対称性について 安田 正敏
いったん危機管理に失敗すれば、不特定多数の人々に甚大な損害を負わせる可能性のある企業については、明らかにそれぞれのステイクホルダーが曝されているリスクに極めて大きな非対称性があります。このような企業については、株主の利益を保護するという観点からコーポレートガバナンスを語ることはできないのではないかと思います。
74年ぶりの生命保険会社の誕生とそのコーポレートガバナンス 安田 正敏
74年ぶりに誕生した生命保険会社であるライフネット生命保険は、古い体質の生命保険業界に対し新しいビジネスモデルで挑戦していますが、同時に、コーポレートガバナンスの実践でもベストプラクティスを示してくれるものと期待しています。
MBOを巡る争点 安田 正敏
MBOによる上場廃止が続いています。MBOを行うには様々な理由がありますが、MBOによって会社の重要な経営課題が解決するものではないということを経営者は肝に銘じておく必要があるでしょう。
株式市場の規律は維持されているか? 安田 正敏
オリンパス粉飾事件の関係者が逮捕されましたが、この事件への対応について未だに大きな疑問が残る点が一つあります。東京証券取引所のオリンパスの株式の上場維持判断です。
しかし、東京証券取引所による株式市場の規律は維持されているのでしょうか?
社会問題としてのコーポレートガバナンス 安田 正敏
コーポレートガバナンスの問題はつまるところ日本の社会問題ではないかという気がしてきます。したがって、日本のコーポレートガバナンスの問題を解決するためには問題の真の原因を究明し、会社法だけでなく、企業活動全般に係るその他の法律、例えば労働関係の法律など包括的な法律、制度の見直しに加えて、社会的な慣行の思い切った変革が必要になってくるのではないでしょうか。
会社法制部会の論点(4):企業統治の在り方-取締役の監督機能に関する検討事項(続き) 安田 正敏
第5回会議の前半では、委員会設置会社、監査役会設置会社に加えて新しく監査・監督委員会設置会社(仮称)が提案され、それを中心に前の二つの現行制度と比較しながら議論されています。しかし、この制度を良く見ると現在の監査役に取締役会での議決権を認めることとコーポレートガバナンス上の機能は変わらないように見えます。
会社法制部会の論点(3):企業統治の在り方-取締役の監督機能に関する検討事項 安田 正敏
社外取締役の必要性を議論する基礎として経営全般の監督機能と利益相反の監督機能と分類して議論していますが、このような議論は「会社の業務を知らない人が経営全般の監督機能とか利益相反の監督機能を果たせるはずがない」という議論に行きついてしまいます。社外取締役を必要とする本質的な理由を考えればこのような結論には行きつきません。