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富士ゼロックスの会計不正の真の教訓は? 門多 丈

富士ゼロックス社の不適切会計についての「調査報告書」は、内容的には「事故調査書」でしかない。富士フィルム・グループ全体の内部統制の不備についての掘り下げが足りず、今後のために有効なコーポレートガバナンス改善の提言とはなっていない。

研究不正 - 科学者の捏造、改竄、盗用:黒木登志夫著/中央公論新社 書籍レビュー

本書で紹介される研究不正は、本質的に企業という場で起きる不正と同根です。不正は、本書の著者である黒木博士の専門領域であるがん細胞のように、研究組織や企業以外にも政府、官僚組織、地方自治体などおよそ人間の活動するところに潜む「不正がん細胞」とでも呼んでいいような原因から起きます。それは、動機、機会、正当化という不正のトライアングルです。この「不正がん細胞」の中の動機、機会、正当化という「遺伝子」に決定的な作用を及ぼす因子は人の心の中にある「倫理」ではないでしょうか。

失敗続く日本企業の海外M&A ~その共通の原因とは?~ 安田 正敏

「日本企業による海外のM&A(合弁・買収)の88%は失敗している。10%は成功でも失敗でもどちらでもない。成功しているのは2%だけ」という日本電産の守永会長兼社長の言葉は、東芝や日本郵政のM&A失敗を目にすると非常に重みがあります。失敗の真の原因は経営者が合理的な判断力を喪失する結果となる様々な要因が絡み合っているようです。

取締役会改革:中村直人著/中央経済社 書籍レビュー

中村直人弁護士著の近刊「取締役会改革」(中央経済社)を読みました。

指名・報酬諮問委員会をどう機能させるか 門多 丈

指名・報酬諮問委員会の課題は、指名、報酬それぞれの諮問に対し社外取締役が如何に効果的なアドバイスを行えるかである。そのための工夫や配慮が重要である。

東芝の隠蔽体質と社外取締役の責任について 安田 正敏

今年2月14日に公表された「添付資料に含まれる財務数値は、独立監査人によるレビュー手続き中であり、大きく修正される可能性があります」という注釈付きのウェスティングハウス社を巡る7,125億円という巨額損失の背景には、覆い難い東芝経営陣の隠蔽体質があります。外部の目をもってその隠蔽体質を変えることが期待された社外取締役は何をやってきたのでしょうか。東芝の社外取締役は、ウェスティングハウス社の問題に対して自分たちが社外取締役としてどのように取り組んできたのかあるいは何をすべきであったのかということを社会に公表する責任があると思います。

「相談役」について 安田 正敏

相談役と呼ばれる慣行が会社の経営に弊害をもたらすという議論が高まっています。議決権行使書助言会社であるISSは今年の株主総会の議案に対する議決権行使の新しい推奨基準のひとつとして、相談役を置くことを定める定款変更の議案については反対を推奨するということです。この相談役あるいは顧問といわれるような慣行は、コーポレートガバナンスを巡る他の様々な問題に影響を及ぼしている日本企業の文化に根差すもっと根源的な原因から派生しているのではないかと思います。

取締役の忠実義務について 安田 正敏

日本の経営者は会社法第355条(忠実義務)の意味するところを、渋沢栄一翁の次のことばとともに、じっくり考えてそれを肝に銘じてほしいものです。「もしそれが自己のためにはならぬが、道理にも契(かな)い、国家社会をも利益するということなら、余は断然自己を捨てて、道理のある所に従うつもりである。」

株主総会を「白熱教室」に!! 門多 丈

日本のコーポレートガバナンス改革でも、いよいよ株主総会運営の「実効性」の議論をする段階に来ている。最近の注目すべき動きとして、ROEの低い会社への経営者取締役への「不信任」投票の増加、M&A戦略についての反対の意思表示、株主配当を取締役会で決議し株主総会に諮らない定款の変更を求める株主提案への多数の支持、などである。

社外取締役の評価について 後出 大

先日、某米系企業のガバナンス体制についての話を聞く機会を得た。当該社は一般的にもガバナンス体制がしっかりしている企業として有名であり、これをもって米系企業を一律に論じることはできないのだろうが、それにしてもいわゆる独立取締役が自らの役割を果す上でのコミットメントの内容の重さには改めて驚かされた。少なくてもいくつもの会社の取締役を掛け持ちできるほどの気楽なコミットメントではなく、わが国の社外取締役のあり方についても改めて考えさせられるものがあった。

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一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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