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会社法制部会の論点(1) 安田 正敏

2010年12月16日
4月から現在までに法制審議会・会社法制部会において議論されたことをこれから数回にわたって概観します。これらの論点は相互に関連しており、議論を見ていく中でその関連を念頭においてみていくことが重要です。また、会社法はすべての会社に適用される基本法ですから、ここでの議論もそのことを念頭においてみていくことが重要だと思います。
法務省の法制審議会・会社法制部会における会社法を巡る議論は、12月22日に現在までの議論で残された論点・その他について議論し、第一読会を終了することになっています。第二読会は来年1月から開始され来年春ごろまで行われ、その後中間試案の公表は夏前ごろになることが見込まれています。今までどのような論点が主要な議題になり、どのように議論が展開されてきたかについては法務省のホームページ(注)から議事録を見ればその詳細は分かりますが、かなりのボリュームになりますので、このブログで何回かにわたり筆者なりに要約し感想を述べていきたいと思います。

第4回会議から第一読会にはいっていますがそれは次のようなものです。

第4回会議(8月25日)及び第5回会議(9月29日)
 企業統治のあり方
  • 監査役の監査機能に関する検討事項
  • 取締役会の監督機能に関する検討事項
  • 資金調達の場面における企業統治のあり方に関する検討事項

第6回会議(10月20日)及び第7回会議(11月24日)
 親子会社に関する規律
 (1) 親会社株主の保護
  • 多重代表訴訟に関する検討
  • 子会社の意思決定に係る親会社株主総会の権限に関する検討事項
 (2) 子会社株主・債権者の保護
  • 利益相反の場面における少数株主保護に関する検討事項
  • 子会社債権者に対する親会社の責任の在り方に関する検討事項
 (3) 企業結合の形成過程に関する規律
  • キャッシュ・アウトに関する検討事項
  • 組織再編における少数株主の救済手段に関する検討事項
  • 組織再編の手続に関する検討事項

第8回会議(12月22日)
 残された論点・その他

これらの論点は相互に関連しており、議論を見ていく中でその関連を念頭においてみていくことが重要です。また、会社法はすべての会社に適用される基本法ですから、ここでの議論もそのことを念頭においてみていくことが重要だと思います。但し、危険なのは非常に重要な論点でもそれがすべての会社に当てはまらないという理由で切り捨てられることです。会社法でカバーすることが妥当でない論点でも重要なものはどのような手段でカバーされるべきかを考えるべきだと思います。
次回は、企業統治のあり方についてどんな論点があり、どのように議論が展開されていたかを概観してみたいと思います。


(文責:安田正敏)

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