ブログ詳細

日本も捨てたものではない 門多 丈

2009年11月29日
米国では食品などで隠れた日本ブームとか、中国やアジアでの日本の消費財は高い評価を得ている。日本の株式市場はJapan passingの中で低調であるが、日本の企業経営はこのような底辺の大きな流れをとらえ経営やビジネス、マーケティングの戦略を磨くべきではないか。
先週はNYに出かけ1週間過ごした。もっぱらプライベートでオペラやコンサートに出かけ美術館巡りを楽しんだ。米国は景気も順調に回復し株式市場は好調のように見えるが中小企業の資金繰りは深刻で予断を許さない状況と感じた。不良債権の続発とCTI(中小企業金融やリースの大手金融会社)の破綻に見られるように金融機関自体の財務内容悪化が影を落としている。

一方隠れた日本ブームには驚いた。「料理の鉄人」の米国版が日曜のゴールデン・アワーに放送され大人気で、日本版も別途放映されている。日本食のブームは寿司のみでなく蕎麦まで行っているとのこと。健康食のイメージと中国食材の衛生不安が影響しているようである。スポーツ・シューズではアシックスが大ブレークしナイキなどとは比較にならない人気とか(カラフルで機能も高度で好まれる)。安くてよいものとのイメージが定着しユニクロ・ブームも出てきており大胆な店舗展開を可能にしている。化粧品SK-Ⅱも高級ブランドで定着し愛用されている。過去に比べても異常なほどの日本ブームになっていると米国に詳しい知人から聞いた。

先日香港に出張した時にも同じような話を聞いた。日本の消費財(化粧品、食品)に対する人気は高く、子供や家族のことを考えると中国品に比べて2-3倍高くても信頼できるものを買いたいと思っているとのこと。漢方の本場の中国人からサロンパスの名前が出たのには驚き、ユニクロの潜在的人気も強く感じた。

今や日本の経済や株式市場は海外の投資家からはJapan Passing どころかJapan irrelevanceとも言われている状況だが、日本の企業経営はこのような底辺の大きな流れをとらえ経営やビジネス、マーケティングの戦略を磨くべきと感じた。具体的なポイントとしては、

  1. ビジネス・モデル;消費者や顧客の高い評価をうまくビジネス・モデルに構築する工夫と差別化への注力
  2. ブランド、知財への注力;「料理の鉄人」の米国版の最後にフジテレビの協力と出ていたが、これほどの大人気番組になったのに対ししっかりパテントの対価を払ってもらっているのかが疑問。
  3. 前向きな株式資金調達;最近の日本企業の大量の株式増資は注目すべきであるが、発行者の大部分はビジネスで行き詰まっているエレクトロニクス企業や巨額の損失を計上した金融機関である。グローバル戦略を明確にし差別化できるビジネス・モデルを提示し成長のための株式増資を今こそ活発化させるべき。

このような経営の姿勢と実践こそが個別企業のみならず日本の底力を世界に示すための有力な手段となると考える。

(文責:門多 丈)


コメント
安心できる日本の民間薬も 北澤 | 2009/12/02 09:02

私は、クマザサから作る、55年の歴史を持つ民間薬のメーカーに勤める者です。「日本はすてたものではない」を拝見し嬉しく思いました。外国における日本の優れた技術、アイデアの評判や実態などを教えていただくと、殻に閉じこもっている私にはとても新鮮に写ります。「安心感」、「信頼感」はどの国でもビジネス上重要な要素になることを痛感致しました。私も数少ない海外旅行の中で、大陸のおおらかさと、健康に大変気を遣う繊細なアメリカ人の両面にとても不思議な感じを覚えました。 最近の医学の進歩は光の如く速度が速く、ハイテクな機器での検査データが病気の診断に最優先され、一昔の町医者による「手当て」などという言葉は死語になりました。医師が聴診器を当てながら、直接患者の肌に触れるほのぼのとした姿は最近あまり見られなくなり、自分の症状について聞きながら診察を受ける「安心感」は消えつつあります。医薬品の業界でも同様に新薬の進歩はものすごい速さですが、逆にその副作用は様々な形に表れております。中国漢方三千年の歴史から見れば、僅か数十年の歴史でしかない新薬による副作用の検証は始まったところではないでしょうか。「簡単に飲める」、「味がよい」、「時間が掛かるが効き目に優れている」など改良が進んでいる日本の副作用が少ない民間薬の「安心」をもっと外国にアピールしたいものです。

この記事に対するご意見・ご感想をお寄せください。

この記事に対するトラックバック一覧

サイト名: - 2019年6月26日 12時58分

タイトル:
内容:
URL:/blog/blog_diaries/blog/blog_diaries/receive/199/


こちらのURLをコピーして下さい

お問い合わせ先

一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

ページトップへ