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グローバル化、情報化と企業のリスク管理 門多 丈

2014年08月05日
ベネッセ社の個人情報漏洩事件、中国の食肉期限切れ疑惑、スカイマークの巨額な違約金問題は、いずれもグローバル化、情報化の中でのコーポレートガバナンス、内部統制、リスク管理に関わる深刻な事態である。
ベネッセ社の個人情報漏洩事件は深刻なレピュテーション・リスクと巨額な賠償金問題を引き起こした。企業の存続を脅かす致命的なリスクに焦点を当てて管理すべきリスク・アプローチの内部統制、監査の考えからはあり得ないような大失態である。情報化関連ビジネスでは恒常化している委託、再委託のガバナンスの問題でもある。取締役会、監査役会、内部監査でこのようなリスクについて、ベネッセ社で日ごろどのような注意を払い議論をしていたかが厳しく問われる。

情報セキュリティの面では、情報処理の作業室へは携帯電話など私物を持ち込ませない、USBなどの情報デバイスの持ち出しをさせない、など厳密な管理をすべきである。半導体工場でのクリーン・ルームと同様な管理システムが必要ということである。PCなどにデバイスを接続しデータを移転することはできない仕組みとすべきであり、データ使用や処理、移転については記録を厳密にチェックすべきである。
マクドナルドが仕入れていた中国の鶏肉の期限切れ問題については、中国社の親会社である米国OSI社の内部統制、リスク管理の態勢が問われる。食品業としてのリスクの重さを考えると、自らコントロールする監督スタッフをなぜオンサイト(工場の現場)に置かなかったかが疑問だ。内部統制のCOSOのフレームワークでの、業務とコンプラインスの目的に係る内部統制に重大な不備があったということになる。マクドナルドの工場検査は事前に通知されていたと言われ、抜き打ち検査を行っていなかったのは問題だ。マクドナルドに於いても、取引先や委託先の管理の点でCOSOフレームワークでの内部統制不備の問題があった。

スカイマーク社のA380購入契約解除の件では、巨額の違約金による損失が予想される。国際路線への展開を図り巨大機を発注するリスクの認識が甘かったと言うべきであるが、このような決定について取締役会は充分な調査と議論を行ったかコーポレートガバナンス上の問題は深刻であると思う。社運をかけてのプロジェクトに臨む場合はやはりリアル・オプションの考え(常に現在価値で選択肢を比較し、中途で撤退する可能性を残す)で経営は柔軟に当たるべきであるが、スカイマーク社の取締役会はそれを適切に監督していたのか疑問だ。ビジネス環境の劇的な変化でA380購入を実行できなかった訳だが、それを想定してのキャンセル条項が契約に入ってなかったのはまことに不可解である。何のために巨額な前払い金を払っていたのかということにもなる。航空機ビジネス専門家によると、A380は巨大機で中古市場もないのでリースの組成が難しいという。A380購入のファイナンスも契約解約もより難しい機種ということになる。初めての国際路線ビジネス展開に当たり、スカイマーク社の機種選定の経営判断にも問題があったのではないか。今回の決算発表で「事業継続に重大な疑義」と開示せざるを得ない事態になったが、経営判断の失敗とコーポレートガバナンスの欠如の結果とも言えよう。

(文責:門多 丈)

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