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コーポレートガバナンス・コード導入の今日的意義 門多 丈

2014年11月25日
ガバナンス・コード導入では、取締役会の責務をど真ん中に据えた議論をすべきである。 取締役会が企業の持続的成長について主体的にコミットすることに今日的意義がある。

コーポレートガバナンス・コード有識者会議では、コード案が事務局(金融庁)から示され、本格的な議論が始まっている。基本原則案が以下の5つの章で示された。


  • 第1章(基本原則1)株主の権利の尊重と平等性の確保
  • 第2章(基本原則2)株主以外のステークホルダーとの円滑な協働
  • 第3章(基本原則3)適切な情報開示と透明性の確保
  • 第4章(基本原則4)取締役会等の責務
  • 第5章(基本原則5)株主との対話

現在まで公開された議事録でも改革派と守勢派、惰性派の熾烈な(ドロドロした)議論がうかがえるが、実践コーポレートガバナンス研究会の安田専務理事が後述のブログで詳細に論評されている。有識者会議でのキーワードはやはり取締役、企業経営の「受託責任」であり、席上での「長年にわたって企業価値の向上を実現できていない」、「企業経営がリスクを取っていない」、「投資家(株主)に向いた経営をして来なかった」などの有識者の発言は傾聴すべき指摘である。


コード案導入の最大の意義は第4章「取締役会等の責務」にあり、取締役会が自らの責務を明確に定義し、どのようにそれを実行し、説明責任を果たすか、にあると考える。有識者会議でも「上場会社の取締役会は、株主に対する受託者責任を踏まえ、企業に持続的成長と中期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図ること」と提案されていて、その施策として次の3項目が示されている。


  1. 企業戦略等の大きな方向性を示すこと
  2. 経営幹部による適切なリスクテイクをサポートするような環境整備(説明責任の確保)を行うこと
  3. 独立した客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高いモニタリングを行うこと


これらから明らかなことは、取締役会の責務は「執行の監督」のみでなく持続的成長へのコミットとその戦略のグランド・デザイニングにあることとなる。有識者会議で守勢派、惰性派が取締役会の構成や独立取締役の導入、指名・報酬委員会の活用、利害相反への配慮などについてさまざまなかたちで「異論」を述べるのは、ガバナンスのど真ん中に取締役会を置くことへの抵抗(既存の経営形態を守りたい)があるとしか考えられない。安田様も指摘されているが、守勢派、惰性派の「(コーポレートガバナンス・コード導入は)実情に合わせて・・」とのコメントは、日本の多くの企業が失われた20年、グローバル化の中で取り残された「実情」に謙虚に目を向けていないことを示すものでしかない。


実践コーポレートガバナンス研究会・安田専務理事のこの間の下記ブログもご参照ください。


スピード感に欠ける会議運営 ~コーポレートガバナンス・コード有識者会議の議論について
原理原則に立ち返ろう ~コーポレートガバナンス・コード有識者会議の議論について
常勤監査役の経営者からの独立性を確保せよ ~コーポレートガバナンス・コード有識者会議の議論について
指名及び報酬諮問委員会の設置で透明性確保を ~コーポレートガバナンス・コード有識者会議の議論について
現状維持はあり得ない ~コーポレートガバナンス・コード有識者会議の議論について


(文責:門多 丈)





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