「コーポレートガバナンス・コード案」に対するパブリックコメントを提出しました 門多 丈
2015年02月06日
コーポレートガバナンス・コードという海図を使い、どのように舵を取って行くかが企業経営の課題となる。そのキーワードは「自己規律」と「説明義務」である。
実践コーポレートガバナンス研究会理事会名で「コーポレートガバナンス・コード案」に対し、パブリックコメントを提出した。
>> 【提言】「コーポレートガバナンス・コード原案」に対するパブリックコメントを提出しました
コード案は「情報開示の充実」として、経営戦略、コーポレートガバナンスについての基本的な考え方の説明を取締役会の責任で規定した。取締役のリーダーシップとして「企業戦略等の大きな方向性を示す」責任も明記した。日本特有のガバナンス機関である監査役・監査役会の役割、責任も規定し、社外取締役との連携も強調している。
実践コーポレートガバナンス研究会は、「コンプライ・オア・エクスプレイン」の原則については、コンプライしてもその事項に関する会社の考え方をエクスプレインすべきと規定するよう要望した。「エクスプレインをエクスキューズ(出来ない言い訳)にしない」ことが重要と考える。独立社外取締役を2名置くなどの重要事項については、コンプライしてもその事項に関する会社の考え方をエクスプレインすべきと規定するよう要望した。「経営の監督と執行の分離」の実行のためには、非業務執行の取締役(独立社外取締役を含む)の役割を強調すべきであり、特に英国コーポレートガバナンス・コードで明確に規定されているように取締役会議長を独立社外取締役とすることを主張した。
コード導入により、日本のコーポレートガバナンス・コード環境は「海図なき航海」から脱却し、各企業がコーポレートガバナンス・コードという海図を使いどのように舵を取って行くかが経営の重要な課題になる。そのキーワードは「自己規律」と「説明義務」になると思う。組織依存の傾向の強かった日本の企業風土の中では、この実践は容易ではない。
独立取締役の資質について実践コーポレートガバナンス研究会の会員から貴重なコメントを頂いた。「小生の懸念は 日本の場合、社外取締役の強化により取締役会 が弱体化しないか、という点であります。日本の ビジネス社会で、同業他社のOB、企業の現役役員を社外取締役に招聘するのはまれで、学者、官僚OB、弁護士、会計士など企業経営に携わった 経験のない方々が中心となります。 欧米流の社外取締役会を目指す場合の留意点かと 思います。」取締役の構成と運営を考える面では注意すべき点と思う。取締役会の実効性を評価する際にも重要なポイントとなる。
他の会員からは「実務に反映させるためには、英国コードのように『Board Effectiveness』、『Risk management, Internal control』、『Audit Commitees(及び我が国の場合は監査役/監査役会)』についてガイダンスを示すべきだと思います。また、『リスク管理』はわが国では『Risk Control』のニュアンスが強いので少なくともリスク管理(Risk management)とすべきと思います。」とのコメントを頂いた。コーポレートガバナンス・コードがプリンシプル(原則)主義を採っており、その実践には各企業の取締役会での考え方の十分な議論とともに具体的な規定の策定が必要というアドバイスでもある。
(文責:門多 丈)
※内容は下記のリンクよりお読みいただけます。
>> 【提言】「コーポレートガバナンス・コード原案」に対するパブリックコメントを提出しました
コード案は「情報開示の充実」として、経営戦略、コーポレートガバナンスについての基本的な考え方の説明を取締役会の責任で規定した。取締役のリーダーシップとして「企業戦略等の大きな方向性を示す」責任も明記した。日本特有のガバナンス機関である監査役・監査役会の役割、責任も規定し、社外取締役との連携も強調している。
実践コーポレートガバナンス研究会は、「コンプライ・オア・エクスプレイン」の原則については、コンプライしてもその事項に関する会社の考え方をエクスプレインすべきと規定するよう要望した。「エクスプレインをエクスキューズ(出来ない言い訳)にしない」ことが重要と考える。独立社外取締役を2名置くなどの重要事項については、コンプライしてもその事項に関する会社の考え方をエクスプレインすべきと規定するよう要望した。「経営の監督と執行の分離」の実行のためには、非業務執行の取締役(独立社外取締役を含む)の役割を強調すべきであり、特に英国コーポレートガバナンス・コードで明確に規定されているように取締役会議長を独立社外取締役とすることを主張した。
コード導入により、日本のコーポレートガバナンス・コード環境は「海図なき航海」から脱却し、各企業がコーポレートガバナンス・コードという海図を使いどのように舵を取って行くかが経営の重要な課題になる。そのキーワードは「自己規律」と「説明義務」になると思う。組織依存の傾向の強かった日本の企業風土の中では、この実践は容易ではない。
独立取締役の資質について実践コーポレートガバナンス研究会の会員から貴重なコメントを頂いた。「小生の懸念は 日本の場合、社外取締役の強化により取締役会 が弱体化しないか、という点であります。日本の ビジネス社会で、同業他社のOB、企業の現役役員を社外取締役に招聘するのはまれで、学者、官僚OB、弁護士、会計士など企業経営に携わった 経験のない方々が中心となります。 欧米流の社外取締役会を目指す場合の留意点かと 思います。」取締役の構成と運営を考える面では注意すべき点と思う。取締役会の実効性を評価する際にも重要なポイントとなる。
他の会員からは「実務に反映させるためには、英国コードのように『Board Effectiveness』、『Risk management, Internal control』、『Audit Commitees(及び我が国の場合は監査役/監査役会)』についてガイダンスを示すべきだと思います。また、『リスク管理』はわが国では『Risk Control』のニュアンスが強いので少なくともリスク管理(Risk management)とすべきと思います。」とのコメントを頂いた。コーポレートガバナンス・コードがプリンシプル(原則)主義を採っており、その実践には各企業の取締役会での考え方の十分な議論とともに具体的な規定の策定が必要というアドバイスでもある。
(文責:門多 丈)
- at 15時46分
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