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「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために:ビル・エモット著/日本経済新聞出版社 書籍レビュー

2017年08月25日
元エコノミスト誌編集長ビルエモット氏の著書、「西洋」の終わり(日本経済新聞社)を読んだ。現在の世界の政治・経済情勢の基本的問題を考える上で大変参考になる。
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 著者は元英エコノミスト誌編集長。現在の世界の政治・経済情勢の問題の根底には「社会的な信頼の動揺」があると論じる。現在の問題について「経済的な格差の拡大」を主に論ずることに、従来から評者は疑問を感じていたので納得できる。
 今迄の「開かれた社会」の特徴が金融危機と高齢化で不確かなものになっているとし、利権集団、不正規雇用、公共投資の低下が「社会の動揺」を増幅させていると分析している。金融については元英FSA長官ターナー氏の「すべての金融取引が有益であるとは限らない」とのコメントが引用されているのも興味深い。
 トランプ大統領出現に見られる米国の社会的な背景について、著者はビジネスの官僚主義(!)、労働参加率の低下や麻薬問題を指摘している。その克服としては「超党派で競争市場改革を」と論じるのは(対トランプ戦略としても)注目する。

 和訳のタイトル「『西洋』の終わり」だが、原タイトルのThe Fate of the Westとはかなりニュアンスが違う。「西洋はどうなるのか」とも訳すべきではないか。

(文責:門多 丈)

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