ブログ詳細

ひとはなぜ戦争をするのか--脳力のレッスンV/寺島実郎著:岩波書店 書籍レビュー

2018年03月23日
著者は知性の中核は歴史認識であるとし、著者はその点から現在の日本の政治・外交の理念のなさと脆弱性を危惧する。日米関係が本音を隠した矮小なものになりつつあるとも分析する。
123
この本のタイトルは1932年のアインシュタインとフロイトとの対話のテーマで、そこでフロイトは戦争を抑圧するものとして、文化の大切さを語った。文化力を形成する知性の中核は歴史認識であるとし、著者はその点から現在の日本の政治・外交の理念のなさと脆弱性を危惧する。

「アメリカについて行くしか選択肢がない」との考えで、被爆国日本が国連の核兵器禁止条約に反対する。沖縄問題をはじめとして日本は米国の中国・東南アジア政策の本音を読めていない、時代と共に日米関係が本音を隠した矮小なものになりつつあると著者は分析する。一方アジア諸国に対しては日本が経済面では「アジアの先頭を走る豊かな国ではない」との心理的圧力が高まる中で、プチ・ナショナリズム的心理が頭をもたげてくると危惧する。

政治家の知的レベルの低さ、首相官邸が各省庁の幹部人事を掌握する政治主導、官邸主導政治を著者は指弾する。今回の森友学園事件の財務省の決裁文書の改竄スキャンダルはその象徴であろう。

現在の国際情勢の混沌については、1648年のウェストファリア条約以来の「世界秩序」の転換点とするキッシンジャーの考えを紹介し、「世界秩序」の規定として「世界に通用する公正なアレンジメントとパワー分配の本質について各地域や文明が持つ概念」と彼の考えを解説する。

(文責:門多 丈)


>>書籍の詳細 [Amazon.co.jp]

この記事に対するご意見・ご感想をお寄せください。


こちらのURLをコピーして下さい

お問い合わせ先

一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

ページトップへ