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評価できる経済同友会の経営改革委員会の提言 「社外取締役の機能強化『3つの心構え・5つの行動』」 安田 正敏

2018年05月31日
経済同友会の経営改革委員会が5月22日に公表した社外取締役の機能強化に関する提言は、コーポレートガバナンス・コード改訂版に対して当研究会が提出したパブコメのコメント2(CEO等の役割と責任)とコメント3(内部監査の制度化)に関して、同様の趣旨の主張があります。提言で主張されている「社外取締役の機能強化『3つの心構え・5つの行動』」は、社外取締役を選ぶ会社、社外取締役本人の両面から考慮されており実践的な提言であり大変評価できます。
経済同友会の経営改革委員会が5月22日に公表した提言「社外取締役の機能強化『3つの心構え・5つの行動ー実効性の高いコーポレートガバナンスの実現を目指してー』」(以下、「経済同友会の提言」という)の内容については共感できる点が多くあります。特に、コーポレートガバナンス・コード改訂版に対して当研究会が提出したパブコメのコメント2(CEO等の役割と責任)とコメント3(内部監査の制度化)に関して、同様の趣旨の主張があります。当研究会のコメントと経済同友会の提言の中の記述を対比してみます。

研究会コメント2(CEO等最高業務執行責任者の役割と責任の明確な定義)

<改訂補充原則4-3①案>
上場会社の取締役会は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上という目的に沿ったCEO等の役割と権限について取締役会の考えるところを明確に定義し、CEO等の選解任のプロセスにおいて客観的な基盤を明確にすべきである。

       経済同友会の主張(6頁「①取締役と経営執行の役割」の文中)

       後継の経営者の選任については、まず、自社の事業ビジョンを描き、
       それを実現する経営者像や経営者に求められる資質について、社外取締役を含
       む指名委員会や任意の指名諮問委員会において議論することが必要である。
       さらに、議論を踏まえて選任における考え方を明確にすることにより、説得力が
       高まる。

研究会コメント3(内部監査の制度化)

<改訂補充原則4-13③案>

 上場会社において、監査委員会、監査等委員会及び監査役会は内部監査部門に対して、監査機能上の指揮命令権を確保すべきである。
 上場会社は、第3のディフェンスラインとして内部監査部門を明示し、また統治機関において監督・監査責任を担う監査委員会、監査等委員会及び監査役会は内部監査に関する監査機能上の重要事項の意思決定に責任を持ち、その監査活動に対して適切に指揮命令を行うべきである。
 ここで内部監査に関する監査機能上の重要事項とは、内部監査部門長の任免、内部監査規程の承認、内部監査計画の承認等を指す。

       経済同友会の主張(「III.提言②コンプライアンス問題」の文中)

       内部監査部門からの監査結果は、内部監査部門担当役員や経営執行のみ
       ならず、監査の職務を行う会社法上の機関にも報告される体制を構築する。

       内部監査部門長の人事や評価は、経営執行(内部監査管掌の執行役)の
       みならず、監査の職務を行う会社法上の機関にも同意をとる。

 内部監査部門の体勢については、経済同友会の主張は当研究会のコメントほど踏み込んだものではありませんが、コーポレートガバナンス・コードの有識者会議でもほとんど議論されなかった内部監査部門の体勢について経営者がこの主張のように内部統制部門の経営執行からの独立を意識した考え方を表明することは大変評価できることだと思います。

 この点に限らず、経済同友会の提言で主張されている「社外取締役の機能強化『3つの心構え・5つの行動』」は、社外取締役を選ぶ会社、社外取締役本人の両面から考慮されており実践的な提言であると思います。以下のURLからダウンロードできます。

https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/uploads/docs/180522a.pdf

(文責:安田正敏)

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