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ウーバーと囲い込み 門多 丈

2018年06月19日
米国出張の際にウーバーの配車サービスの利便性を実感した。ウーバーの強みはビッグ・データを使っての効果的なプライシング配車サービスにある。物販、物流、金融のサービスへの参入も容易だ。今後はアマゾン、グーグルと競争するプラットフォーム・ビジネスを目指すであろう。

先日公的年金の集まりでワシントンに出張した。ニューヨークから列車でワシントン駅につきタクシーを探した。黒山の人だかりのところで「タクシー待ちか」と聞いたところウーバーの利用者たちであった。タクシー乗り場を探し寒い中で30分ほど待った。ウーバーの魅力は到着時間を指定できること、何分で車が来るかを逐次スマホでチェックできることなどにある。筆者はウーバーにアカウントを開いていないので利用を断念したが、タクシーに比べて抜群に利便性がよい。ウーバーはマンハッタンなどでは自転車での出前サービスも始めたそうだ。レストランでのチップが不要なことも魅力になっている。 

ウーバーの強みはビッグ・データを使っての効果的なプライシングと配車サービスにある。天候、道路の込み方などをチェックし所要時間と運賃を提示する。相乗りの場合はさらに運賃が安くなる。ビッグ・データを使ってのビジネスであるが、これを活用し物販、物流、金融のサービスへの参入も容易だ。今後はアマゾン、グーグルと競争するプラットフォーム・ビジネスを目指すことであろう。 

プラットフォーム・ビジネスの強みは囲い込みにある。一度アカウントを開くと良いサービスと良い情報を享受できる限り顧客のロイヤルティ(忠実度)は高い。このようにしてエコシステムが形成され、その中でカードやローンのビジネスも派生する。銀行を介さない巨大な資金の流れやファイナンスが生ずることになり、銀行にとっては大いなる脅威ではないか。

(文責:門多 丈)

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2018年5月9日号「複眼」コラムに投稿したものです。


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