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ESGの原点 門多 丈

2018年07月17日
日本ではESGを一つの投資のセグメントとして考えることが多いが、欧州の年金などではサステナブル(継続性重視の)投資の考えから、すべての投資分野をカバーする要素(「レイヤー」と称する)としている。

先日ワシントンでの年金会議に出席した。米国、カナダ、欧州、アジアの公的年金が集まり、投資戦略などについて議論する集まりである。当面の運用環境については多くは楽観的であったが、米国の参加者は今後のインフレ・リスクとすでにピークを打っている景気が今後どのようになるかを懸念していた。 

公的年金中心の集まりでもあり、ESG(環境、社会、ガバナンス)についても活発に議論がされた。ESGについては欧州が先行しており、オランダの医療産業の年金連合のトップからは環境問題、天候異変に関してのプレゼンがあった。石油などの石化燃料関連企業の株をポートフォリオから外し、風力、太陽光などのリニューアブル・エネルギー企業株への投資を行っている、エネルギー効率化やリニューアブル・エネルギーのベンチャー企業に投資するプライベート・エクィティ・ファンドを自分達で立ち上げたーことが報告された。 

年金などの機関投資家も投資される側の企業も、双方が社会的な存在であることを自覚することにESGの原点がある。この考えからサステナブル(継続性重視の)投資とも呼んでいる。現在の日本ではESGを一つの投資のセグメントとして考えることが多いが、欧州の年金などではすべての投資分野をカバーする要素(「レイヤー」と称している)とする。長期的な観点からESGが投資のリスク・リターンの関係を良くするとの認識が深まっている。

(文責:門多 丈)

※ 本記事はニッキンレポート2018年6月5日号「ヒトの輪」コラムに投稿したものです。

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