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日本郵政は公開会社か 門多 丈

2020年03月10日
かんぽの保険商品の不適切販売などの不祥事を受けた日本郵政の経営・ガバナンス改革では、未だ経営戦略が不明確であり問題を起こした企業風土のメスが入らない中で、日本郵政・郵貯・かんぽの新経営陣のイ二シャティブは期待できない。

日本郵政の副社長が総務次官との「ホットライン」を使い、行政処分の機密情報を入手した事件には唖然とした。かんぽの保険商品の不適切販売に続くコンプライス違反だが、経営トップが行ったものであり罪は重い。公開会社である日本郵政グループが、一般株主や顧客に顔が向いていないことを象徴する事件である。

増田新社長は「グループ創立以来の最大の危機」と言うが、郵政グループの経営理念、不祥事を起こした企業風土、隠蔽体質の根本的な見直しなしには再出発とは言えない。

かんぽ生命、日本郵便の社長に旧郵政省出身者が就任することは納得できない。不祥事の適切で迅速な報告が上がらなかった責任は、各社のナンバー・ツーであった官僚出身の新社長にもあるのではないか。社外取締役は取締役会で新社長人事評価に当たって、このような点を含めてどのような論議をしたかを知りたい。

長門社長は辞任会見で、「内部昇格」の官庁出身者がトップにいても、JTなどの民営化企業で成功した事例を挙げたが勘違いも甚だ(はなはだ)しい。JTは縮小する国内市場の将来に危機感を持ち、積極的なグルーバルM&Aの展開に見られるように、根本的にビジネス戦略を見直した。日本郵政経営の問題は、未だ「親離れ」をしていない、企業戦略が不明確、企業風土革新の意思がないことにある。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2020年2月5日号「複眼」欄に投稿したものです。


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