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敵対的買収と独立取締役の役割 門多 丈

2020年05月18日
旧村上系ファンドの東芝機械TOBに対する「防衛策」を例に、敵対的買収やMBO(経営陣による買収)の場合は、独立社外取締役が「専ら会社、会社にとって有益か否か」の判断をするべきである。経営陣には利益相反があるために判断の当事者にはなるべきではない。

旧村上系ファンドの東芝機械TOBに対する「防衛策」の是非については、独立社外取締役は中長期的企業価値の向上に資するものであるか株主の立場から判断すべきである。その際には、同時に現在の経営陣の戦略が企業価値の向上に繋がるものになっているかの評価も行うべきである。

敵対的買収やMBO(経営陣による買収)の場合は、独立社外取締役の役割は極めて重要である。経営陣はこれらの提案については利害関係者であり、適切な判断は必ずしも期待できない。提案が現在の経営陣に対して敵対的ということだけであり、株主にとっては有利なものもあり得る。独立社外取締役は外部専門家の意見を聴取するなど、十分なコストをかけて適切な意見の表明を求められる。

これまでの会社とのやり取りを見る限り、旧村上系ファンドは短期的な視点のアクティビストと思える。臨時株主総会で旧村上系ファンドは、ブルドックソース事件判決にある濫用的買収者でないことを十分説明すべきである。一方で、大量買い付け者以外の株主にのみ無償の新株予約権行使を認めるという会社側の防衛策は、株主権の重大な希薄化をもたらす。その点からは総会決議は過半数ではなく、特別決議とすべきと考える。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2020年3月2日号「複眼」欄に投稿したものです。


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