指名委員会の重責を果たすには 門多 丈
2021年04月12日
コーポレートガバナンス・コードの今回の改訂では、プライム市場上場会社の指名委員会は構成員の過半数を独立社外取締役とするなど、経営陣幹部・取締役指名に係る機能の強化が定められた。
現在進行中のコーポレートガバナンス・コードの見直しのなかでは,指名委員会の機能向上が議論されている。指名委員会の責任は、株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案内容の決定と、前回のコーポレートガバナンス・コード見直しで提起された「CEOの選解任」である。
指名委員会の多くは、従来「諮問を受ける」形での受け身的な形が多かったと思うが、独立社外取締役が主導的な役割を果たす時期に来ている。後継者計画については、社外候補も視野に入れて企業戦略と整合性のあるように策定し、将来のCEO候補の取締役、執行役員クラスの資質、能力、姿勢を観察する仕組みの工夫も必要である。スキルマトリックスを作成し、取締役会の構成や実効性について議論することも重要となる。
「CEOの選任」については、三菱ケミカルホールディングスが、社外取締役が過半を占める指名委員会で、社内、社外候補の中から社外の外国人を社長に選出した。経営者の評価については、昨年7月に経済産業省が公表した「社外取締役の在り方に関する実務指針(「ガイドライン」)で、「まず期初に社長と対話を行い、今年度の社長のミッションと各ミッションの重要度を定めている。1年間が終わった段階で社長自身による自己評価を聞くとともに、達成度について5段階の評価を伝える。その評価を踏まえた上で、来期も経営を任せるか否かを判断している」との先進例が説明されている。
※ 本記事は金融ファクシミリ新聞3月8日号「複眼」欄に投稿したものです。
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