重要性を増す独立社外取締役 門多 丈
2021年12月07日
東芝、関西スーパーの株主総会では、特別委員会設置など、独立社外取締役の責任が厳しく問われている。モニタリングボードへの移行の中では、アクティビストを含む株主との「対話」の当事者としての期待も大きくなる。
今回のコーポレートガバナンス・コードの改定では、プライム市場上場会社については独立社外取締役を指名委員会、報酬委員会の構成員の過半数とすべきなど、独立社外取締役の役割と責任は重要性を増している。
関西スーパーマーケット社への買収提案の場合のように、特別委員会で独立役員の判断が求められケースも増えている。オーケー社の予告するTOB価格が株式時価を大きく上回っていたにも拘わらず、将来の企業価値の向上の可能性、従業員や地域社会へのインパクトなどを総合判断しH2O社を勧告したと説明する特別委員会の責任は重い。
オーウェン・ウォーカー著「アクティビスト」(日本経済新聞出版)では、独立社外取締役が、アクティビストとの「対話」の矢面に立っていることが良くわかる。バリューアクト・ファンドはマイクロソフト社に対し、CEOのスティーブ・バルマーがPCのOSビジネスからネットやスマホ分野への移行に踏み切れてないとし退任させるように迫った。米国の取締役会では社外取締役が多数である。このため、モニタリングボードとして経営執行の監督責任の面から、経営者の選択と評価、経営計画の達成状況、M&A・事業売却の判断の是非などについて、アクティビストが独立社外取締役に対峙する構造になっているのである。
※ 本記事は金融ファクシミリ新聞11月9日号「複眼」欄に投稿したものです。
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