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ここが正念場の、オリンパス社外取締役 門多 丈

2012年08月20日
オリンパスに対するソニーの出資・提携、テルモの経営統合などが提案されているが、そのいずれを選択するかについては株主に対する責任の点からは独立取締役がリードし決定すべきである。
オリンパスに対するソニーの出資・提携交渉に対抗する形で、テルモが共同持ち株会社方式による経営統合を提案した。ソニーとは画像処理技術と内視鏡の開発の融合や、カメラ事業の強化と合理化が想定できる。テルモとであれば医療機器事業での規模拡大やシナジー、技術イノベーションでの活性化、国際競争力の強化が図れるという。富士フィルムは医療分野での幅広いシナジーがある都市、提携を呼びかけているという。

これらのいずれを選択するかについては資本調達と事業戦略の両にらみで行われると思うが、提携によるオリンパスの企業価値の向上の効果の大きさで判断されるべきである。この判断を行う取締役会の責任は重い。コーポレートガバナンスの観点からは、社外取締役がリードする形で十分な調査と議論をし決定すべきである。特に株主に対する責任の点では、経営執行陣や銀行出身の社外取締役ではなく、独立取締役がこの決定の主たる責任を持つべきである。

この状況は、敵対的買収/公開買い付け(TOB)に対して取締役会の「意見表明」を求められることに似ている。取締役会は買収の提案が株主にとって有利なものかの「意見表明」を求められる。取締役会での徹底的な審議に加えて、多くの場合自らの責任で第三者による調査委員会を設置する、コンサルタントを起用する、など公正で適切な判断を行うべくプロセスを踏む。

今回の提携先選びは「衆人環視」のもとで行われ、取締役会としては選択の基準の明確化、案件の精査や決定についての説明義務も重要だ。やはり第三者による調査委員会を設置することや、取締役会独自でコンサルタント起用することを検討すべきである。決定にあたっては経営執行陣から然るべき意見や情報を十分満足できる形で聴取することは大前提であるが、それによって取締役会の判断が左右されるべきではない。銀行指名の社外取締役が、出身銀行のいろいろな「思惑」によって決定に介入する惧れがある場合は、独立取締役は株主の立場から断固として排するべきである。飽く迄も、決定は提携などによるオリンパスの企業価値の向上の効果の大きさを基準にして行われるべきである。

(文責:門多 丈)


コメント

外部コンサルタントを活用すべし 有川正和 | 2012/08/21 22:19

提携先ごとにシナジーが変わってくるでしょうから、そのシナジー効果を定量的キャシュフロー予測で行うべきでしょう。ただ、この予測をだれができるかですが、事業計画の策定能力のある人材でなければならず、外部コンサルタント(医療機器アナリスト他?)を的確に選出すべきなのでしょう。

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