セブン&アイとアクティビスト 門多 丈
2022年04月15日
社外取締役は自らの役割と責任を自覚し、株主との「対話」に積極的に応じるべきである。「対話」は効果的なIRや取締役会の議論にも貢献する。
東芝の経営はアクティビストにふりまわされて、会社分割案での混乱や株主還元での泥縄式の配当増など後手後手の対応となっている。東芝をどのような会社にしたいのか、経営の考えや取締役会での議論が見えない。
米国の大手アクティビストのバリューアクト・キャピタル(VA)が公開書簡で、セブン&アイ・ホールディングス(7&i)に対し、社外取締役が上位株主の機関投資家と対話し、7&iの企業価値向上について取るべきアクションについての意見を聞くように要求した。
VAが7&i社外取締役から「対話」で聞きたいとする内容は、「経営陣の戦略ヴィジョンは適切か、戦略を実行する能力はあるか」、「戦略遂行に於いて、取締役会の意見を聞く姿勢があるか」、「中期経営計画は企業価値の向上のための最適なものか」、「グループ経営に於いて事業ポートフォリオや子会社の見直しの選択肢は何か」である。
いずれも日ごろから取締役として考えておくべき内容であり、社外取締役は株主からのこのような「対話」の要求に積極的に応じるべきである。VAのようなグローバルな企業投資のプロの知見を得る機会にもなる。アクティビストとの「対話」の内容は、他の株主、ステークホールダ―にも参考になり、効果的な企業広報ともなりうる。
※ 本記事は金融ファクシミリ新聞「複眼」2022年3月23日欄に投稿したものです。
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