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世界の火種はロシアだけではない 門多 丈

2022年06月02日
マクマスター元米陸軍中将の「戦場としての世界」(日経BP社)、は現在のロシアのウクライナ侵攻を軍事的な面から予想していたが、中国、北朝鮮、中近東などの世界の火種についても警告している。

トランプ政権の国家安全保障特別補佐官を務めたマクマスター陸軍中将の「戦場としての世界」(日経BP社)、20年に書かれた本であるが、冒頭はロシアで、現在のプーチンの動きの理解にも役立つ。マクマスター氏は14年のクリミヤ併合の時点からロシアへの警戒を強めていたようで、「プーチンや取り巻きの巨額な不正蓄財への国内の反発をかわすのに、最良の方法は海外での対立を激化させること」にあると今回の動きを予見している。

マクマスター氏は、イラクやアフガン戦争などの過去の外交や軍事の失敗の原因は戦略的(自分の都合の良いように思い込む)ナルシシズムにあると指摘し、戦略的エンパシー(相手の考え方の裏、イデオロギーを読む)の重要性を説く。

ロシアについての記述は20%くらいで、本書は中国、中東、北朝鮮など世界の紛争の種を詳しく分析している。特に中東での、イランの脅威、ジハードの「大義」の下での国境を越えたテロリストの活動のリスクを詳述している。特に中近東にはイスラエルの存在、サウジの国情不安も含め、コントロール不能な紛争になるリスクが潜在し、ロシア、ウクライナに比しても複雑な状況にある。最近の原油価格高騰はイランにとっても好都合であるはずで、さらに凶暴な攪乱行為に出る可能性が気になる。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞「複眼」2022年4月18日欄に投稿したものです。


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