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細則主義に陥ったコーポレートガバナンス・コード 門多 丈

2022年08月22日
昨年のCGコード改定で70を超える項目についてComply or Explainが求められようになっている。各企業は取締役会での議論を深め、Explain も活用し自主的に実態と課題を開示すべきである。

コーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード))次回の改定では、社外取締役を過半数にするなどモニタリング・ボードへが議論されると思うが、その前に現行のCGコードが企業価値を向上させる仕組みとして機能しているかの見極めが必要ではないか。

原則主義のはずが、70を超える原則と補充原則について “Comply”“Explain”を求められるように、CGコードは細則主義に陥っている。“Comply”“Explain”の問題は、Complyについて明確な基準がなく曖昧であること、一度Complyと決めると、取締役会での思考と議論が停止することである。

昨年のCGコード改定で、東証プライム上場会社(約1800社)は天候異変に関するTCFD開示が義務付けられた。カーボン・ニュートラルを目指し2030,2050年を想定し数値で企業の状況を開示することは簡単ではない。まずは各社が取締役会で「戦略」開示事項について、自社の課題をじっくり議論する必要がある。開示を急ぐだけでは、企画部など担当部門やコンサル頼みの形だけのものになる。投資家が重要視するリスクは、企業ごとに違う。TCFD以外にも、昨今の地政学面での激動を考慮し、サプライチェーン戦略についての関心も高い。取締役会は開示項目についても、主体的に考え決定すべきである。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞7月20日号「複眼」欄に投稿したものです。


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