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サステナビリティの有報開示 門多 丈

2023年03月01日
今年から有価証券報告書でのサステナビリティ開示が求められる。取締役会で自社のマテリアリティ(天候異変や人的資本のみならず、イノベーション、サプライチェーン、資源エネルギー問題など)に焦点を当てて主体的に議論をすべきである。取り上げたマテリアリティについては「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「目標と指標」の項目でのメリハリのある開示を行うべきである。

内閣府令の改正で、有価証券報告書(「有報」)の開示に「サステナビリティに関する企業取組み」が追加されることとなった。法的義務のある開示であり、株式上場企業以外の有報作成企業を対象とするものでありインパクトが大きい。

開示を求められている項目は「サステナビリティに関する取り組み」、「人的資本、多様性」、「コーポレートガバナンス」である。「サステナビリティに関する取り組み」については、コーポレートガバナンス・コードで求められているTCFDなどでの天候異変開示に限らず、各企業がマテリアリティ(サステナビリティに影響する重要項目)を具体的に決定し開示する必要がある。具体的には、国際化、イノベーション、技術開発、エネルギーなどの資源確保、安定的なサプライチェーンの構築、DX、人的資本などが考えられる。

TCFD開示でルールが確立された「ガバナンス」、「戦略(機会とリスク)」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目で行うのが妥当である。「ガバナンス」についてはサステナビリティ委員会を設置すると開示するのみでなく、マテリアリティ決定の根拠を具体的に説明することが重要で、それが投資家の信任を得ることとなる。今年の3月末決算企業からこの開示が義務付けられるが、決算数字に直接の関係のない非財務情報であり、各企業の取締役会は今から議論を開始すべきである。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2023年1月24日号「複眼」欄に投稿したものです。


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