現預金保有とCGコード改訂 門多 丈
2025年12月26日
次回のCGコード改定に向けて「現預金保有の検証」が議論になっている。現預金のみでなく、将来のキャッシュフロー、銀行からの借り入れ余力など総合的に勘案する、キャッシュフロー・マネジメントの観点から議論すべきである。
CGコード改訂に関する有識者会議(令和7年度)が発足した。その中で「(企業が)現預金を必要以上に積み増していないか(投資等に有効活用できているか)の検証・説明責任の明確化の検討」の方針があると聞く。現預金の保有を適正に保つのは、企業金融のイロハであり、CGコードが企業経営の「箸の上げ下げ」まで口を出す必要はない。過去に何度かの改定でCGコードの条項が増加・細分化し、コードの簡素化が求められていることにも逆行する。
内部留保や、現預金のレベルについては、アクティビストや株主の関心も高く、現預金を過剰に保有し財務効率が悪い企業の株価は停滞しているはずで、このような議論は市場に任せるべきである。適正な現預金保有のレベルは、企業戦略や潜在するリスクによって違うが、経済・事業環境の変化にも影響され、いわばムービング・ターゲットである。コンプライ・オア・エクスプレインで具体的な数字でコミットするのは難しい。
CGコードの改訂案では、「現預金保有のあるべき基準」の検証・説明責任は例示としては挙げられているが、開示方法としては企業が手元の現預金と将来のキャッシュフローの予測などについての前提を明らかにしたうえで、統合報告書で資産ポートフォリオの戦略を開示するのがよいと思う。CGコードのコンプライ・オア・エクスプレインの中で、資金使途としてM&Aや研究開発を明示しコミットする場合、それに縛られ企業経営が無駄な設備や研究開発投資を行うリスクもありうる。※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2025年11月28日号「複眼」欄に投稿したものです。
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