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ニデック会計不正疑惑の闇(2) 門多 丈

2026年01月28日
永守氏は取締役を辞任したが、今回の巨額損失、会計不正をもたらした業績重視の企業風土や取締役会の監督、監査等委員会・内部監査の機能不全などコーポレートガバナンスや内部統制の問題については、第三者委員会の報告で改善策を含めてしっかり議論されているかを検証すべきと考える。

ニデック社は20254~9月期連結決算で、877億円の損失を計上した。いずれも同社経営が損失の先送りを図っていたことを示し、重大な会計不正であり、何よりも企業経営のインテグリティ(誠実さ)の問題である。

損失の内訳は契約損失引当金で365億円、設備の減損で317億円、契約求償債務で195億円であるが、このような大型損失について、取締役会が危険を予知し、事前の予防や事態の発覚後に何をすべきであったかを検証することが、コーポレートガバナンスや内部統制から重要である。

取締役会でしっかり議論し、対処するためには監査等委員会の監査、内部監査が適切に機能していることが重要であるが、そのための3つのディフェンスライン(業務執行、経理・コンプライアンス、内部監査)がニデック社では機能していたとは思えない。「契約損失引当金」は開発が確実に実現できるか確定しないうちの受注、「設備の減損」は電気自動車関連の将来の需要の下方修正、「契約求償債務」はサプライヤーとの発注をめぐるトラブルである。無理な受注や発注は利益至上主義のプレッシャーであり、会計処理の不備は財務・経理の人手と能力不足であり、同社が2022年に「違法配当」を行った際に指摘されていた。内部監査が発見事項を監査等委員会に適時に適切に報告する体制もできていなかったのではないか。

同社にはリスク管理員会があり、その目的は「事業に影響を及ぼすリスクをグローバルな視野で中長期的なリスクと日常的なリスクの両方を見据え、事業継続の確保を図る」とあるが、このような巨額な損失を出した事業やビジネスのリスクについて衆知を集め、取締役会に警告すべきであった。

本件の背景にある内部統制の不備の諸問題について、取締役の監督と監査等委員会の監査が機能していなかった責任について、本件の特別委員会はしっかり検証すべきである。特に監査等員会は、会計監査人PWCとの「監査計画」の打ち合わせの席上では、会計処理の不透明性と「経営による内部統制の無効化」のリスクは指摘されていたはずであり、その対応を怠ったその責任は重い。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2025年12月22日号「複眼」欄に投稿したものです。

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