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悪いMBOに要注意 門多 丈

2026年03月24日
MBOやファンドの買収提案の際には、社外取締役を中心として特別委員会を設置することが通例になってきているが、特別委員会は株主共同の利益(企業経営との利益相反の監視)と買収後の企業のサステナビリティを考慮した上で、取締役会に「答申」すべきである。

TOBMBOによる株式公開会社の非公開化が増えてきている。その是非については株主共同の利益の観点から特別委員会が詳査するが、主要メンバーである社外取締役の責任は重い。特にMBOによる非公開化については「良い」、「合理的」、「悪い」があり、その峻別が重要である。 

「良い」MBOは企業の一層の成長の観点から、企業経営が長期的な戦略のために非公開化するケースである。日本の計測・医療機器メーカーが、検査データを活用し医療サービスの展開を目指すが、国内では規制が厳しくグローバルな事業展開を企る。そのためにバイアウト・ファンドをスポンサーにしてMBOを行ったが、ファンドのネットワークを活用し、この分野での知見とネットワークを持つ企業との提携も狙う。 

株式市場からの資本調達の必要が当面なく、上場維持についての経営者の拘束やコストもかかる企業がMBOを行うものは「合理的」と言える。

 「悪い」のはアクティビストに追い詰められて行うMBOである。最近はアクティビストとバイアウト・ファンドが「連携」する場合が往々にあるが、高騰した株価と高い比率のレバリッジ(借りれ金依存率)では企業の成長は難しく、縮小均衡の会社経営となるリスクが高い。その結果で部門売却や雇用の削減が起こりうる。特別委員会は企業のサステナビリティの面から、経営者のエゴで会社や従業員、取引先が犠牲にならないかを考慮する事も重要である。公開を維持し、競争的な戦略を打ち立て成長する選択肢がないかも論点に入れるべきである。

 特別委員会の意見には買付価格の相当性が入るべきである。最近のトヨタ自動織機の事例のように「買収に賛成するが、価格の妥当性にはコメントしない(買付けに応募するか否かは株主に委ねる)」ことでは、取締役会の忠実義務を果たしているとは言えない。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2026年2月25日号「複眼」欄に投稿したものです。


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