取締役実効性向上のためのAIの活用 門多 丈
2026年04月24日
取締役会において、成長戦略・内部統制・リスク管理についてしっかり議論し、経営執行を監督することの高度化が必要ですが、取締役会での生(なま)の議論をデジタル化し検証することが効果的であると思います。
AIでの取締役会議事録作成が始まっている。取締役会議事録は、取締役が善管注意義務、忠実義務を果たしていることを示す法定書類であるが、企業ごとに内容的にも量的にもばらつきが多いのが現状である。取締役会での「生の」議論をデジタル化しAIで分析することは、取締役会の実効性の評価(経営の執行や内部統制・リスク管理の監督をしっかり行っているか)の検証に使える。
経営執行が企業のパーパスを踏まえ、市場や競争環境を踏まえ企業戦略をしっかり立て、資本のコストを考えた事業ポートフォリオを構築し、リスク管理を適切に行っているかを、取締役会が適切に監督しているかをAIも使い評価する。取締役会の実効性の向上は、継続的な取り組みでありPDCAサイクルに沿って行うべきであるが、その点でもAIによる継続的な分析、示唆は役立つ。
コーポレートガバナンス改革の中で、社外取締役が取締役会議長になることや取締役会事務局の強化が目指されているが、そのためにもAIの活用が有効である。取締役会のアジェンダ設定や過去の議論のレビューを効果的に行うツールになる。この際に注意すべき点としては、情報の機密保護の観点からは、AIは外部データべースと繋がらないクローズドのシステムとすべきであることと、生成された情報については取締役会議長や取締役会事務局の判断が必須であることである。
今後「実効性評価」は、指名、報酬、監査、特別などの委員会や取締役個人を対象に行う段階に来ているが、これについてもAIによる分析と示唆が役立つ。
※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2026年3月24日号「複眼」欄に投稿したものです。
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