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ニデック不祥事と監査等委員取締役の責任 門多 丈

2026年06月10日
ニデックの調査報告書によると、同社の経理や内部監査の体制が十分でないことが以前から指摘されていた。アクティビストからの不正会計疑惑の指摘もあった。監査等委員取締役がこのような問題適切に対処したかが問われる。

今回のコーポレートガバナンス・コードの改訂の重点項目の一つは、モニタリング・ボードとしての取締役会機能の向上であるが、それに逆行していたのがニデック社の取締役会である。取締役会の顔ぶれを見る限り、ニデック社の企業価値の向上や内部統制の強化に貢献できるような人材はいない。永守氏が自分に「耳の痛いことは言わない」肩書のある社外取締役を選んだことは明らかだ。
これまでの永守氏の言動を見る限り、横柄で乱暴な経営をしていたことは想像できるが射技取締役は、そのような兆候や過度な業績プレッシャーについては、取締役会で強く警告すべきであった。それができなかったということは、実効性のある取締役会ではなかったということである。
ニデック社は役員の法的責任について調査する「役員調査委員会」を設置したが、特に監査等委員取締役の善良管理注意義務違反について厳しく調査すべきである。今回の会計不正は「M&Aのれん代の減損を行わなかった」、「設備の減価償却をごまかした」、「在庫部品の評価損を隠した」ことなどであり、いずれも製造業では起りうるものであり、リスクフォーカスの観点から監査等委員取締役は内部監査部門を適切に指導し不祥事を防止すべきであった。会計監査人との面談では、このようなリスクや「経営陣の内部統制の無効化」はKAM(key auditing matter)として指摘されていたはずであり、監査等委員取締役はそれらについて善良管理注意義務を果たしていなかったと考える。同社では過去に会計不正について内部通報が社内外に行われていたことが明らかになってきているが、監査等委員取締役が内部通報を受け取りながら取締役会に適時に報告しなかったかなどの義務懈怠がないか、についても事故調査委員会は調査すべきである。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2026年4月20日号「複眼」欄に投稿したものです。


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