企業年金は株式投資の圧縮を 門多 丈
米国株式は明らかに過剰流動性とユーフォリアによるバブルである。ピークから2,3割の暴落は覚悟すべきである。米国のビッグテックとメガIPO株で、上場株の時価総額の4割を超える。これらの株価には現在の売上高の数十倍になるものもある。今後のAI技術進歩のなかで、淘汰される企業も当然出てくる。年金はこのような歪んだインデックスでの運用は再考すべきである。
米国の巨額の財政赤字や、高インフレで長期金利の上昇リスクがある。債券投資も要注意であるが、厄介なことには株式と債券の相関が高く分散が効かず、リーマン危機の際のように株式と債券が同事に下落するリスクがある。ビッグテックは既に社債市場で巨額の調達をしているが、最近はメガIPO候補企業がプライベート・クレジット・ファンドからも多額の借入を開始している。社債市場での資金調達が困難になる兆しとも言える。米国の巨額な政府債務によるクラウディング・アウトも懸念される。最悪のシナリオはビッグテックとメガIPO企業の株式、社債の同時の暴落である。
このような投資環境では従来の株式、債券の分散投資は機能せず、リスクも大きい。先日パリで開催された国際年金会議では、インフレ懸念と中長期的にリターンを狙う考えから、プライベートアセット投資を強化すべきとの議論がされた。具体的にはこれまで20パーセントぐらいであったプライベートアセットへのアロケーションを、今後40パーセントくらいに増やすべきと主張する投資家もいた。プライベートエクィティ、プライベートデット、インフラファンドなどが対象であるが、個人的にはヘッジファンドやVCも分散の考えから組み入れても良いと思う。
企業年金は伝統的なポートフォリオ運用に拘ることなく、個社の将来の年金支払いのキャッシュ・フローのパターンを考慮し、長期的な観点から主体的にポートフォリオを構築することが重要と思う。
※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2026年7月21日号「複眼」欄に投稿したものです。
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