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日本株が元気になるには 門多 丈

2011年12月06日
日本株が元気になるには、国内の投資家の資金が株式市場に向かい、企業が潤沢な内部留保をグローバル化や成長のために向ける状況が必要と思う。経営者の保身の姿勢も問題である。コーポレートガバナンスを強化し、経営と業務執行の透明性を高めることも重要である。
日本経済の成長のためには、日本株が元気になる必要がある。投資対象としては現在の日本株は「割安」と思う。ほとんどの株のPBR(株価純資産比率)は1を割っている。PER(株価収益比率)も国際的な基準から見ても低い。株価に対する配当利回りも年率3%から4%になる優良銘柄も多い。30~40%の配当性向(企業利益のうち配当に充てる割合)を考えると配当以上のお金が(株主の持ち分として)企業に留保されているので、これも好条件である。全体としてはダウンサイドに抵抗力の強い株価のレベルになっていると思う。

このような状態にありながら、何故株価が上がらないのか。この状況を打破するには二つの「金の流れ」を変える必要がある。一つは国内の個人の金が株式投資に向かうことである。金融資産の一定部分(3分の1とか)を日本株投資に向け、分散にも配慮しつつ長期的観点から株式に投資し、配当でのインカムを期待する「賢い」個人投資家が期待される。もう一つは企業に滞留する巨額の現預金の活用である。グローバル化や成長のための設備投資やM&Aに向けるべきである。企業が明確な戦略を持ち打って出るならば、そのための増資や借り入れも、かつてはそうであったように市場からも評価される。

オリンパス社、大王製紙社の経営の私物化は論外だが、全般に経営者の保身の姿勢は問題だ。グローバル化、成長のための戦略を明確に示し差別化できるビジネスモデルを確立出来ない経営者は、株主が厳しく批判し退場させるべきである。コーポレートガバナンスの体制を強化し経営の意思決定や業務執行の透明性を高めることも、株式の長期投資家の信頼を得るためには必須である。

かつて海外の年金基金や投資ファンドのマネージャーと日本株投資について議論する機会があった。「国内投資家が魅力と思わない市場に、何故我々が投資しなければならないのか」と言っていた。国内の資金がしっかり日本株市場に向かう流れができるとグローバルな資金も日本に向かい、ひいては日本の経済、産業、企業についての良い意味での再評価の動きが起こると考える。

(文責:門多 丈)

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