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オリンパス事件、機関投資家の対応は? 安田 正敏

2011年12月02日
オリンパス委任状争奪戦報道は「オリンパスの損失隠し問題が経営の主導権争いに発展」という論調ですが問題の本質は、株主価値を毀損した現経営陣に対する株主の異議申し立てです。この問題へ日本の機関投資家がどう対応するかを見ることで、日本の機関投資家のコーポレートガバナンスに対する考えを嘘いつわりなく知ることができます。
12月1日日経電子版は深夜の記事で、オリンパスの元社長ウッドフォード氏が、「株主と連携して委任状争奪戦(プロキシーファイト)を通じた経営改革を進めたい」という考えを表明したことを報じています。また、本日12月2日の朝日新聞朝刊も「オリンパス委任状争奪戦へ」、「ウッドフォード氏 社長復帰へ多数派工作」というセンセーショナルな見出しで、「オリンパスの損失隠し問題が経営の主導権争いに発展した」などと報じています。

しかし、これら朝日新聞の論調はオリンパス事件の本質を外れています。問題の本質は、筆者が11月13日のブログ「オリンパス再生の道」で書いたように、オリンパスのM&Aをめぐる常識はずれの報酬支払等について疑惑が発覚した後に何の疑問も呈せずにウッドフォ-ド氏解任に全員一致で賛成した現在の取締役は取締役としての資質を欠いており、この経営陣のもとではコーポレートガバナンスは有効に働かないということです。現在の経営陣が、コーポレートガバナンスを働かせることができない状況の中でこの事態を改善する唯一の方法は株主が主導権をもって行動することです。この観点からすると、ウッドフォード氏と現経営陣の間での「経営の主導権争い」という見方は根本的に間違っています。問題の本質は、株主価値を毀損した現経営陣に対する株主の異議申し立てです。朝日新聞が引用しているウッドフォード氏の「現経営陣は(不正を告発した)私の解任に手を挙げて賛成した。そんな人を将来のオリンパスのために選んではいけない」という発言こそ問題の本質をついています。

さて、そこで注目されるのがオリンパスの株式を保有する日本生命保険や東京三菱UFJ銀行、三井住友銀行など日本の機関投資家、銀行のオリンパスの委任状争奪戦への対応です。朝日新聞は、「上位には日本生命保険やメーン行などの安定株主が並ぶ。日本の銀行などには現経営陣を支持する考えが根強い」と報じていますが、この問題へ日本の機関投資家がどう対応するかを見ることで、日本の機関投資家のコーポレートガバナンスに対する考えを嘘いつわりなく知ることができます。

(文責:安田正敏)

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