セミナー

2018年 月例勉強会

2018/06/21

【第94回月例勉強会】社外取締役の多様な役割認識と女性取締役の任命パターン

■講師:好川 透 氏(シンガポール経営大学 ビジネススクール 教授)

■講演内容:
2015年のコーポレートガバナンスコードの導入から独立社外取締役の数は大きく増加し、また女性の社外取締役の登用も増えている。社外取締役には経営者の戦略的意思決定をモニターする役割が期待されているものの、社外取締役の間では自らが果たす役割に認識の違いがみられる。また経営者も社外取締役には自らのモニターよりも外部の専門家として助言を期待する傾向がある。さらに女性の社外取締役の任命に関しても企業により違いがある。社外取締役の多くは社内外の異なる期待の間で着地点を探っていることがうかがえる。また男性と女性の社外取締役では異なるバックグランドが好まれるようで、企業側が女性社外取締役に期待していることが男性とは異なることを示している。
今回は、シンガポール経営大学の好川教授にご登壇いただき、社外取締役が自らの役割をどのように捉えているか、またどのような女性社外取締役が任命される傾向にあるかをデータに基づいて詳しく解説していただいた。

■講師略歴:
1985年から1993年東京(2年)トロント(6年)にてCIBC World Markets 勤務。1997年(加)ヨーク大学ビジネススクールにてPh.D.取得。1997年から2002年日本大学商学部、2002年から2006年シンガポール経営大学ビジネススクール准教授、2006年から2010年(加)マクマスター大学ビジネススクール准教授および教授、2010年よりシンガポール経営大学ビジネススクール。学術ジャーナルAsia Pacific Journal of Management, Journal of Business Venturing, Corporate Governance: An International Review, Oxford Research Reviews: Business and Management, Asian Business & Management, Multinational Business Reviewの編集ボードメンバー。シンガポール在住。

2018/05/18

【第93回月例勉強会】日本企業の生死を賭ける変革、デジタル・トランスフォーメーション ~ ビジネスのデジタル化とチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)の役割 ~

■講師:野口 芳延 氏(InterBuisiness Corporation 社長 兼 CEO)

■講演内容:
近年、アメリカの企業は生死を賭ける変革に直面しています。それがAmazonやGoogleに代表されるデジタル企業からの脅威に対抗するためのアナログ・ビジネスのデジタル化 (Digital Transformation = DX)です。日本企業もこの変革に遅れると、デジタル化の波に飲まれて事業が破壊され、企業の存亡の危機に直面する可能性があります。逆に、アナログ産業の中でいち早くDXに成功すると圧倒的競争優位に立つことができるのです。このDXの先導役となるのがChief Digital Officer (CDO)と呼ばれる、今米国企業内で最も注目されているポジションです。今回は、米国在住のITコンサルタントである野口氏をお迎えして、日本ではまだ馴染みの薄いこれらの概念についてご説明いただきました。アナログ企業のDX推進の要となるCDOの役割とは何か? CIOやCMOとはどう違うのか? CDOの要件・資質は何か?等々を、CDOを実際に導入している企業の実例を使いながら解説していただくとともに、今後、日本企業が直面するであろう問題点についてもご意見をいただきました。

■講師略歴:
1973年 北海道大学 卒業。1977年 American Graduate School of International Management(Thunderbird)にて国際経営学修士号取得。1973年 日本IBM入社。1977年米国IBM(Chicago)入社後、Storage Technology Japan社長、その後米国に戻ってCalifornia Peripherals Corporation - President & CEO、 Ray & Berndtson, Inc. - Managing Partner/International Board Memberを歴任。1997年 InfoSpinner, Inc. (Texas)- President & CEO就任。1999年 epicRealm社会長就任。1999年 InterBusiness Corporation設立、President & CEO就任。現在は、米国および日本でのハイテック企業数社の社外取締役/Advisory Board Member/Executive Advisorとして、クライアント 企業の「成長のシナリオ作り」に重点的に携わっている。南カリフォルニアのOrange County在住。

2018/04/05

【第92回月例勉強会】信仰と金融マン人生 ~企業風土と組織の舵取りについて

■講師:橋本 徹 氏(一般財団法人日本経済研究所 理事)

■講演内容:
昨今、ガバナンスコードの導入や取締役会の改革を推進しようとする動きが高まっていますが、それと同時に、企業理念や経営者としての在り方など、組織の根幹を成す議論に目を向けることも重要です。そこで今回は、1990年代から2010年代までの激動の時代に、富士銀行頭取やドイツ証券会長、日本政策投資銀行社長などを歴任された橋本徹様をお迎えし、金融マン、そして経営者としての生き方や行動の指針についてご講演いただくこととなりました。
橋本様の日本・米国・欧州の金融機関における長いご経験の間には、複雑な利害関係が絡む中、経営者として企業の命運を左右する厳しい決断を迫られることも多々ありました。敬虔なクリスチャンである橋本様にとって、ビジネスにおける意思決定を支えて来た信仰とはどのようなものであったかという、大変興味深い視点からのお話も伺いました。

■講師略歴:
1934年生まれ。1957年東京大学法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)に入行。1986年取締役国際審査部長、1987年常務、1990年副頭取を経て1991年頭取、1996年会長に就任。1997年日本経営者団体連盟副会長。2003年ドイツ証券会長。2011年日本政策投資銀行社長、相談役。2017年より日本経済研究所理事。

2018/03/08

【第91回月例勉強会】UCサンディエゴのオープンイノベーション・エコシステムと女性経営幹部育成プログラム

■講師:Ulrike Schaede (ウリケ・シェーデ)氏(UCサンディエゴ グローバル政策・戦略大学院 日本経営学主任教授 国際経営学コース長)

■講演内容:
女性活躍推進法が2016年4月から施行され、従業員301人以上の企業は女性登用について数値目標を含めた行動計画の作成と公表が義務づけられています。政府は「2020年までに課長以上の女性管理職比率を30%にする」との目標を掲げていますが、厚生労働省の発表によると2016年度の課長以上の女性管理職比率は12%あまりにすぎず、目標値の下方修正を行っているのが実情です。また、人事のダイバーシティの方針に基づく女性社外取締役の起用も推進しており、法制化も検討されています。
この女性管理職比率の目標値達成に大きく影響する因子として、女性の管理職人材の不足が挙げられます。特に、グローバルビジネスをマネージし、また取締役として企業ガバナンスで活躍できる女性の人材育成が急務です。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の日本センター、JFIT(Japan Forum for Innovation and Technology)では、このような状況を鑑み、女性グローバル人材の育成促進の研修プログラムとして JUMP(Josei for Upper Management Program)を提供しています。この研修プログラムは、アメリカの女性管理職メンターとの一対一研修、女性グローバルマネジャーとしてのリーダーシップ研修、交渉術演習、エグゼクティブコーチングなどを組み合わせたユニークな内容となっています。今回のご講演では、日本での女性活躍推進についての考察を中心に、JFIT/JUMPの活動について詳しくご説明いただきました。

■講師略歴:
UCサンディエゴ グローバル政策・戦略大学院日本経営学主任教授、国際経営学コース長。JFITディレクター。一橋大学、UCバークレー、ハーバード大学を経て現職。著書:Choose and Focus(選択と集中)、Japan’s Managed Globalization, 他6タイトル。ドイツ日本研究所理事会顧問、日経ビジネスコラムニスト。日本銀行、財務省、経済産業省、日本政策投資銀行等の研究員歴任。ドイツ・マールブルグ大学にて日本学および経済学博士取得。UC San Diego Foundation 理事。

2018/02/21

【第90回月例勉強会】コーポレートガバナンス改革の焦点 ~CGSガイドラインを中心に~

■講師:安藤 元太 氏(経済産業省 経済産業政策局 産業組織課 課長補佐)

■講演内容:
経済産業省では、実効的なコーポレートガバナンス改革による企業価値の向上のための具体的な施策として、平成27年3月に「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGS ガイドライン)」を策定した。このガイドラインは、平成27 年に策定されたコーポレートガバナンス・コードにより示された実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を企業が実践するに当たって考えるべき内容をコーポレートガバナンス・コードと整合性を保ちつつ示すことでこれを補完するとともに、「稼ぐ力」を強化するために有意義と考えられる具体的な行動を取りまとめたものである。
今回は、経済産業省 経済産業政策局の安藤 元太氏をお迎えし、ガイドライン策定の背景やその内容をご説明いただくこととなった。また、平成30年度税制改正の内容など、関連した動きも併せて解説いただいた。

■講師略歴:
2004 年から経済産業省に勤務し、経済産業政策局、製造産業局、大臣官房総務課を経て、米・コロンビア大学国際公共政策大学院に留学。2012 年から電力自由化など電力システム改革を担当。
2016 年から現職に就き、CGS ガイドラインの策定、役員報酬税制の改正等、コーポレートガバナンス関連の政策立案や、スピンオフや株式対価M&A など事業再編関係の税制改正を担当。

お問い合わせ先

一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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