セミナー

2019年 月例勉強会

2019/12/12

【第110回月例勉強会】実証研究 ~ESGは企業価値向上に資するのか?~

■講師:
河原 茂晴 氏(河原アソシエイツ 代表/公認会計士(日本ならびに米国))

内 誠一郎 氏(MSCI 合同会社 マネージング・ディレクター)
太田 洋子 氏(野村證券株式会社 金融工学研究センター長 兼 クオンツ・ソリューション・リサーチ部長 マネージング・ディレクター)
張替 一彰 氏(野村證券株式会社 金融工学研究センター クオンツ・ソリューション・リサーチ部 シニアクオンツアナリスト)

■講演内容:

昨今、企業はその社会的責任の一環として、環境や社会への配慮を事業活動に組み込む傾向が高まっています。また投資家にとっても、投資先の中長期的な企業価値の評価には、財務分析に加え「環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)」の観点も考慮することが合理的であり、社会の要請や運用委託者の利益にも適うという考え方が主流となりつつあります。
このような背景のもと、2019年3月現在で、ESG投資を支持するPRI署名機関数は2,372機関、署名機関の運用資産総額は約86兆ドルまで増加し、日本でもGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などがPRIに署名、コミットしています。
しかし、ESGは真に企業価値の向上に資するのでしょうか。特に企業価値を株主価値と狭義に捉えた場合、ESG格付けが向上するとROE、PBRなど財務諸指標は改善するのでしょうか。
そこで今回は本年を締め括る「特別勉強会」として4名の講師をお招きし、これらの課題について議論していただきました。
(1) ESG投資、三方よしの経営、統合報告の進化事例、そしてESGと株主価値との関係 (2) MSCIのESG格付けとESG指数 (3) ESG格付けとROE/株主資本コストとの関係実証分析  (4)進化するクオンツ・ソリューションについて解説していただきました。

2020/02/20

【第109回月例勉強会】金融業界と企業金融の現状と課題 ~史上最高の”カネ余り”の余波と金融業界の将来像~

■講師:大槻 奈那 氏(マネックス証券 チーフ・アナリスト 兼 マネックス・ユニバーシティ長/マネックスクリプトバンク マネックス仮想通貨研究所所長)

■講演内容:
世界的な金融緩和で米国の景気拡大期は過去最長となり、米株価も史上最高レベルで推移している。不動産価格の上昇も話題になって数年経つが、多くの国で高止まりが続く。さまざまな面で金融緩和も歪みも出てきた。
そんな中、金融機関は、利鞘の低下や他業態からの猛攻で、更なるリスクテイクを強いられている。米国を中心にして、企業債務はかつてないレベルに到達している。リーマン危機の再現を許さないためにも、取締役会による経営執行の監督が重要となってきている。
今回は、マネックス証券 チーフ・アナリストの大槻奈那氏をお迎えし、世界と日本の金融システムにおけるリスクシナリオを分析していただいた。さらに、金融機関、および日本全体の課題であるジェロントロジー(老年学)やデジタライゼーション、地方格差の問題等が金融業界の将来にどのような影響を与えるのか、機会なのかリスクなのか等、様々な角度から解説していただいた。

■ 講師略歴:
 東京大学卒、ロンドン・ビジネス・スクールでMBA取得。スタンダード&プアーズ、UBS、メリルリンチ等の金融機関でリサーチ業務に従事、各種メディアのアナリスト・ランキングで高い評価を得てきた。2016年1月より、マネックス証券のチーフ・アナリストとして国内外の金融市場や海外の株式市場等を分析する。現在、名古屋商科大学大学院教授、二松学舎大学国際政治経済学部の客員教授、同理事を兼務。東京都公金管理運用アドバイザリーボード委員、貯金保険機構運営委員、財政制度等審議会委員。ロンドン証券取引所アドバイザリーグループのメンバー、内閣府規制改革推進会議委員も務める。

2019/10/16

【第108回月例勉強会】日本企業のコーポレートガバナンス改革 ~ 形式から実質へ、雛形からオリジナルへ ~

■講師:林 拓矢 氏(KPMGコンサルティング株式会社 パートナー/KPMGジャパン コーポレートガバナンス・センター・オブ・エクセレンス)

■講演内容:

2018年6月の東証によるコーポレートガバナンス・コード改訂以来、日本企業のコーポレートガバナンス改革は「形式から実質へ」の動きをさらに加速させています。特にグループ・ガバナンス・システムに関する実務指針(経済産業省)や、有価証券報告書上の非財務情報の記載の充実のための改正開示府令など、投資家の関心事によりフォーカスしたルール・ガイドライン・基準のリリースが相次いでおり、各企業ではこれらへの対応を進めつつ、自社の企業価値向上につながるような「オリジナル」のコーポレートガバナンスを追求し始めています。今回の勉強会では、コーポレートガバナンスを専門とするコンサルタントとして数多くの企業を支援されている林拓矢氏をお招きし、各社の具体的な取組事例を交えつつ、日本企業のコーポレートガバナンスの最前線について解説していただきました。

■講師略歴:

国内大手損害保険会社において、海外支店・現地法人の経理指導等に4年間従事し、その後情報システム部門のコスト管理・投資管理業務等に4年間従事。2002年朝日監査法人(現有限責任 あずさ監査法人)入所、2014年4月よりKPMGコンサルティング株式会社に勤務。主にコーポレートガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス、内部監査に関するアドバイザリー業務に多数関与。KPMGジャパンにおけるボード・アドバイザリー・サービス担当パートナー。京都大学経済学部卒。

2019/07/30

【第106回月例勉強会】渋沢栄一の「論語と算盤」で未来を拓く

■講師:渋澤 健 氏(コモンズ投信株式会社 会長/シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役)

■講演内容:

これからの日本の新しい時代に、日本企業への大事なメッセージとは何か。「日本の資本主義の父」と言われる渋沢栄一がその著書「論語と算盤」において提唱した思想とは、現在の文脈に書き換えると、今後の日本企業の発展の支柱となるべきサステナビリティ(持続性)とインクルージョン(包摂性)であった。日本の資本主義の原点には栄一が考えた「合本主義」という思想があり、それは民間力の向上による国づくりのための思想であった。日本の資本主義は、企業を支えるステークホルダーの協働による民間力を通じて未来を拓く人間の智恵を原点としている。過去を振り返ることは、その時代に戻ることを考察しているのではなく、原点を再確認するためだ。歴史を通じて学ぶべきことは、どの時代でも通じる人間の普遍性、そして、どの時代でも存在していた新しい社会を拓くという未来志向だ。このような視点から、「論語と算盤」に学びながら未来を切り拓くための日本企業の在り方とは何かを考察する。

■講師略歴:
1961年生まれ。1969年に父の転勤で渡米。1983年テキサス大学 BS Chemical Engineering 卒業。1984年(財)日本国際交流センター入社。1987年UCLA大学MBA経営大学院卒業。1987年ファースト・ボストン証券会社(NY)入社、外国債券を担当。1988年JPモルガン銀行(東京)を経て、1992年JPモルガン証券会社(東京)入社、国債を担当。1994年ゴールドマン・サックス証券会社(東京)入社、国内株式・デリバティブを担当。1996年ムーア・キャピタル・マネジメント(NY)入社、アジア時間帯トレーディングを担当、1997年東京駐在員事務所設立。2001年シブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業し代表取締役に就任、2007年コモンズ株式会社を創業し、代表取締役に就任(2008年コモンズ投信へ改名し、会長に就任)。

2019/06/12

【第105回月例勉強会】なぜ、企業不祥事が繰り返されるのか ~失敗の教訓をガバナンスに活かす~

■講師:樋口 晴彦 氏(警察大学校 警察政策研究センター 教授 博士(政策研究))

■講演内容:

近年、企業のコンプライアンスに対する社会的要請は強まる一方です。不祥事を起こした企業の受けるダメージは深刻なものとなり、コーポレートガバナンスの観点でも不祥事防止が重要な課題となっているにも関わらず、企業の不祥事は後を絶ちません。なぜ企業不祥事は繰り返され、その原因はどこにあるのでしょうか。そこで今回は、危機管理の専門家として、長年、事件・事故を引き起こす原因メカニズムを分析し、その教訓を企業のガバナンスに活かすべく研究を続けてきた警察大学校の樋口晴彦教授をお招きしてご講演をいただきました。東洋ゴム性能偽装事件における不祥事対策の機能不全、アクリフーズ農薬混入事件における監視体制の不備と経営統合の不徹底、東芝不正会計事件における内部統制機関の機能不全と企業統治の形骸化など、具体的な事例を挙げて解説していただきました。

■講師略歴:
1961年、広島県生まれ。東京大学経済学部卒業後、上級職として警察庁に勤務。愛知県警察本部警備部長、四国管区警察局首席監察官のほか、外務省情報調査局、内閣官房内閣安全保障室に出向。現在、警察大学校教授として、危機管理・リスク管理分野を担当し、企業不祥事とマネジメントについて研究。MBA、博士(政策研究)。危機管理システム研究学会理事。テレビ東京リスク管理・コンプライアンス委員会社外委員。著書に『ベンチャーの経営変革の障害』『東芝不正会計事件の研究』(いずれも白桃書房)・『続・なぜ、企業は不祥事を繰り返すのか』(日刊工業新聞社)など多数。コラム「不祥事の解剖学」を『ビジネスロージャーナル』誌(レクシスネクシス社)に、同「事例に学ぶ 他山の石と玉」を『安全と健康』誌(中央労働災害防止協会)にそれぞれ連載中。

お問い合わせ先

一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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