セミナー

2020年 月例勉強会

2020/12/14

【第119回月例勉強会】ソニーフィナンシャルホールディングスのガバナンスを考える ~ 金融持株会社の経験から感じたこと ~

■講師:石井茂氏(前 ソニーフィナンシャルホールディングス 代表取締役社長

■講演内容:
昨今、コーポレートガバナンス改革に向けた動きの中で「親子上場」をめぐる議論が活発化している。来春改訂が予定されているコーポレートガバナンス・コードにおいても、グループガバナンスの強化が焦点の一つになると思われる。本年は親子上場の解消が加速し、NTTがNTTドコモを完全子会社化するなど大規模なグループ再編が相次いだ。その中で、しばしば親子上場の典型として挙げられたソニーフィナンシャルホールディングス(ソニーの金融子会社)が、この9月にソニーの完全子会社となったことが注目を集めたことは記憶に新しい。
そこで今回は、ソニー銀行の設立・運営に携わり、後にソニーの上場子会社となるソニーフィナンシャルホールディングス社長として経営に携わった石井茂様をお招きして、ソニーの金融ビジネス展開と金融持株会社のガバナンスについてご講演いただくこととなった。親子上場における少数株主と親会社の関係や、持株会社として子会社のガバナンスにどのように取り組んだか、それぞれの課題と困難さについて詳しくお話を伺うことで、ガバナンス議論の一助としたい。

■講師略歴:
1978年 株式会社山一証券経済研究所 証券調査部、1994年 山一證券株式會社企画室 秘書役、1996年 同社 企画室 部長、1998年 ソニー株式会社 入社(ネット金融事業立ち上げ準備に参画)、1999年 同社 金融サービス事業準備室 室長、2001年 ソニー銀行株式会社 代表取締役社長、2015 年 ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社 代表取締役副社長、2016年 同社 代表取締役社長(2020 年 6 月退任)、2018年 ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社 代表取締役社長(2020年 6月退任)。

2020/11/26

【第118回月例勉強会】「社外取締役の在り方に関する実務指針」(社外取締役ガイドライン)について

■講師:疋田正彦氏(経済産業省 経済産業政策局 産業組織課 課長補佐)

■講演内容:
社外取締役の人数及び取締役会に占める割合が急速に増加する中、コーポレートガバナンス改革の中核となる社外取締役がより実質的な役割を果たし、その機能を発揮することが重要であるとの問題意識から、経済産業省では、昨年、東証1部・2部上場企業前者の社外取締役を対象にアンケート調査を実施するとともに、社外取締役42名に対するインタビューを行いました。これらの調査結果を踏まえ、コーポレート・ガバナンス・システム研究会(CGS研究会)において社外取締役としての役割認識や心構え、具体的な取組及び会社側のサポート体制などのベストプラクティスについて議論し、その成果をまとめる形で「社外取締役の在り方に関する実務指針」を策定しました。今回の勉強会では、CGS研究会での議論や経済産業省が実施した調査結果も踏まえながら、社外取締役に関する実務指針の概要について解説していただきました。

■講師略歴:
2012年司法試験、国家公務員総合職試験合格後、2013年4月より経済産業省入省。中小企業政策、対日投資政策を担当後、電力自由化に伴う卸電力市場の流動化政策や電力市場の各種制度設計を担当。2018年7月より現職。コーポレートガバナンス政策やベンチャー税制、産業革新投資機構の立上げ等に関与し、「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」(2019年6月28日公表)、「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」(2020年7月31日公表)、「社外取締役の在り方に関する実務指針」(2020年7月31日公表)の作成を担当。

2020/09/30

【第117回月例勉強会】事例から学ぶ企業不祥事の根本原因と再発防止策 ~ 具体的な設問を通じて考えるコンプライアンスの最新事情 ~

■講師:山口利昭氏(山口利昭法律事務所 代表 弁護士)

■講演内容:
近年、関西電力における金品受領問題、かんぽ生命における不適切な商品販売等、大手企業のガバナンスの不全に起因すると思われる不祥事が大きく報道されています。誠実な企業の誠実な社員による不祥事はなぜ発生し、なぜ発覚するのか。そこに日本企業特有の組織文化の問題が横たわっているのではないでしょうか。
そこで今回は、企業法務やコーポレートガバナンスの専門家である山口利昭弁護士をお迎えし、この「古くて新しい問題」を、具体的な設例を通じて皆様と一緒に考えてみたいと思います。「不祥事は起こしてはならない。起こさないためにどうするか」といった発想を捨て、「不祥事はかならず起きる。起きた時にどうするか」といった発想で対処する大切さを、コーポレートガバナンスの視点から解説していただきました。

■講師略歴:

福岡県大牟田市出身、大阪大学法学部卒業。1990年 弁護士登録、竹内・井上法律事務所勤務。1995年4月 山口利昭法律事務所開設、平成16年6月 株式会社フレンドリー社外監査役,、2004年4月 同志社大学法科大学院講師、2013年3月 株式会社ニッセンホールディングス(東証1部)社外取締役、2013年6月 大東建託株式会社(東証・名証1部)社外取締役(現任)、2015年1月 大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社監査役、2015年6月 消費者庁公益通報者保護制度検討委員会委員(現任)、2018年4月 大阪市高速電気軌道株式会社(大阪メトロ)社外監査役(現任)、2018年10月 財務省コンプライアンス推進会議アドバイザー 就任(現任)、2019年7月 財務省 再生プロジェクト推進会議 構成員 就任(現任)。日弁連 司法制度調査会 社外取締役ガイドラインPT幹事、日本内部統制研究学会理事、日本コーポレートガバナンス・ネットワーク理事。

2020/07/28

【第116回月例勉強会】迫る「コロナ大恐慌」の破壊度 〜コロナ禍に伴う企業救済とガバナンス〜

■講師:磯山友幸氏(経済ジャーナリスト)

■講演内容:
新型コロナウイルスの蔓延により、世界は「大変化の時代」に突入している。既に深刻な打撃を受けた米国では、90年前の世界大恐慌の再来と言われる経済の大収縮と大規模失業の危機に直面している。我が国でも経済活動が大幅に制限され、雇用は一変した。現時点では企業の業績見通しが立てられず、深刻度が世間に伝わっていないが、秋の中間決算発表で赤字決算が相次げば、インパクトの大きさを改めて認識し、危機感も強まる。大手企業でも年末ボーナスの大幅減額は序の口で、人員削減などリストラの検討が始まる。
そんな中、大きな課題となるのが大手企業への経営支援、資本注入である。国や政府機関による資本注入については、既に政府は方策を取り、第二次補正予算にも組み込んでいるが、秋以降問題になるのは、どういった基準で資本注入要請を受け入れていくか、である。弱い順に救済すれば、変革を遅らせ「ゾンビ企業」を生む可能性もあり、将来に向けて「残すべき企業」を選別する必要があるが、いわゆる「トリアージ」の仕組みはまだできていない。一方、資本注入される企業は、深刻なガバナンス問題を抱える。そうでなくても日本銀行やGPIFが実質筆頭株主などに存在する中で、さらに政府が出資すれば、実質的に「国の子会社(国有企業)」が出現することになりかねない。国は議決権のない優先株などで出資を行う方針だが、それはそれで民間企業を国民の財産で救いながら、国民の利益を保全する方法を放棄することにも繋がる。秋の臨時国会(解散総選挙などで実質審議がない可能性もある)以降、こうした救済問題が大きくクローズアップされていくと思われる。今回の勉強会では、これらの問題を日頃からコーポレートガバナンスに関わる皆様と一緒に考えることとなった。

■講師略歴:
1962年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。著書に『「理」と「情」の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』『国際会計基準戦争完結編』『ブランド王国スイスの秘密』(いずれも日経BP社)など。共著に『オリンパス症候群』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材中。早稲田大学政治経済学術院非常勤講師、上智大学非常勤講師、静岡県リーディングアドバイザーなども務める。

2020/06/22

【第115回月例勉強会】監査役よ、勇気と覚悟を持て ~監査役事件簿~

■講師:眞田宗興氏(株式会社システムインテグレータ 監査役)

■講演内容:
今年4月18日、関西電力の個人株主5名から、監査役宛てに、「取締役に対する責任追及訴訟を提起すべし」との請求書が送られて来た。取締役らは原発のある高浜町の元助役から多額の金品を受領していたから、この請求は理解できる。だが、もう一通あった。社長宛てに、「監査役に対する責任追及訴訟を提起すべし」との請求書である。金品受領問題について、監査役会が取締役会に報告しなかったのは善管注意義務違反だとし、総額51億円の損害賠償訴訟を起こせというものである。このように、監査役が訴えられ、損害賠償を請求される事件は、いくつもある。
書籍「監査役事件簿」(同文舘出版)は、実際に起きた50の事件を取り上げ、それらに遭遇した監査役がどのような行動をしたのか、どうすればよかったのか、つまり、監査役が最低限どのような監査をすれば、監査役の義務を果たし、監査役の任務懈怠(損害賠償)責任の追及を免れることができるのかを考察したものである。
今回の講演では、「監査役事件簿」の著者である眞田宗興氏にいくつかの事例をご紹介いただき、監査役の役割やとるべき行動について検討した。

■講師略歴:
1964年 慶応義塾大学経済学部卒業、三菱電機株式会社に入社。家電関係の製作所(静岡・中津川・京都・群馬)及び本社で経理・資材・総務・労働組合・輸入拡大プロジェクトリーダー等を歴任。1995年 東洋高砂乾電池株式会社(現トーカン)にて、常務及び監査役を歴任。2003年 監査役の団体「監査懇話会」事務局長に就任。2003年 トーエイ工業株式会社 監査役に就任。2003~2010年 東京簡易裁判所民事調停委員、司法委員歴任。2006年 株式会社システムインテグレータ常勤監査役就任、2012年 同社監査役就任(現任)。

お問い合わせ先

一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

ページトップへ