セミナー

2021年 月例勉強会

2021/05/11

【第123回月例勉強会】日本の医療制度の強み・弱み ~ ウィズコロナ時代の医療問題を考える ~

■講師:真野 俊樹 氏(中央大学大学院 戦略経営研究科 教授、多摩大学大学院 特任教授、名古屋大学 未来社会創造機構 客員教授)

■講演内容:
医療は、人類の営みにとって欠くことができない健康を維持するための重要なものであるが、日本においては、国民皆 保険制度に守られていたために、一般の議論の俎上に上ることが少なかった。しかし、昨年来のコロナ禍により我が国の 医療制度や医療政策が抱える問題があぶり出され、マスコミやネット上でもこれらについての議論が爆発的に増えた。 今回のセミナーでは、長年にわたる医療の現場でのご経験をもとに、マネジメントやリスクマネジメント、イノベーション の視点で医療・介護業界の改革を提唱されている真野俊樹氏をお迎えし、日本の医療の今までと、コロナ対応を踏まえ た今後の医療について、制度や経営の視点から解説していただくこととなった。 これまで、行政の指示に従って動いていた医療機関においてはガバナンスという観点はほぼなかった。しかしながら行 政においてもガバナンス不全が問われる今、医療分野もガバナンスを考える必要に迫られている。ライブ配信では、企業経営やコーポレ ートガバナンスに日々関わる皆様のご意見をいただきながら、ウィズコロナ時代の医療について議論した。

■講師略歴:
1987 年名古屋大学医学部卒業。医師、医学博士、経済学博士、MBA。臨床医を経て、95 年 9 月コーネル大学医学部研究員。外資系製薬企業、国内製薬企業のマネジメントに携わる。同時 に英国レスター大学大学院でMBA取得。その後、国立医療・病院管理研究所協力研究員、昭 和大学医学部公衆衛生学(病院管理学担当)専任講師を経て、2005 年 6 月多摩大学医療リス クマネジメント研究所教授就任、その後多摩大学大学院教授、医療・介護ソリューション研究所 所長を経て現職。兼任に名古屋大学未来創造機構 ナノライフシステム研究所客員教授(10 月 1 日から)、東京医療保健大学大学院客員教授 JA 共済総研客員研究員、北大認定ベンチャー ミルウス監査役、日本医師会総合政策研究機構客員研究員、学校法人北里研究所病院長等 選任準備委員会委員など。2004 年、京都大学にて博士(経済学)取得。 厚生労働省独立行政法人評価に関する有識者会議 WG 構成員(座長)、学士会代議員、公益 法人日本生産性本部日本版医療クオリティクラブ(JHQC)エバンジェリスト、公益財団法人医療 機器センター附属医療機器産業研究所客員研究員、高知県在宅医療推進懇談会委員、NHK ラジオ「三宅民夫のマイあさ!」準レギュラー、HIMSS Japan Community メンバー、2025 年問題 映画製作委員会アドバイザー(野沢和之監督)、米国財団法人野口医学研究所参与会参与。

2021/04/13

【第122回月例勉強会】諸外国から後れを取る我が国の DX 推進に向けて取締役会はどのように取り組むべきか? ~経済産業省 DX 最新レポート第 2 弾および 「DX の推進に関する取締役会の実効性評価」からの考察~

■講師:田原 祐子氏(株式会社ベーシック 代表取締役、社会情報大学院大学教授/兼松株式会社 社外取締役、サンヨーホームズ株式会社 社外取締役監査等委員)
田辺 雄史氏(経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課長 ソフトウェア・情報サービス戦略室長)
山本修一郎氏(名古屋大学 名誉教授、電子情報通信学会フェロー)

■講演内容:
近年、最新のデジタル技術を活用し、業種を超えた新規参入企業が相次いでいます。企業は新たなビジネスモ デルの創出や業務プロセスの改革を実現し、長期的な成長と競争優位性を確立するためのデジタルトランスフ ォーメーション(DX)の推進を迫られています。 経済産業省は 2018 年に有識者による DX 推進に向けた研究会を立ち上げ、同年 9 月に“DX レポート ~IT シ ステム「2025 年の崖」克服と DX の本格的な展開~”を発表しました。レポートでは、多くの経営者が DX の重 要性を認識しているものの、既存システムが複雑化・ブラックボックス化していることや、業務改革に対する現 場サイドからの抵抗が大きいことなどの課題が挙げられています。「2025 年の崖」とは、この課題を克服でき ない場合、DX が実現できないのみならず、2025 年以降、最大 12 兆円/年(現在の約 3 倍)の経済損失が生じ る可能性を指摘したものです。また、2019 年 7 月には「DX 推進に関する取締役会の実効性評価」も発表され、 経営層による DX への関与が喫緊の課題となっています。 DX は、単なるデジタル化とは異なる、本質的かつ根本的な経営変革であり、CX(コーポレートトランスフ ォーメーション)に他なりません。今回は、2020 年 12 月に発表された最新の DX レポート 2(中間報告)の内 容も含め、経済産業省田辺氏と、DX に向けた研究会・DX の加速に向けた研究会の委員を歴任される名古屋大 学山本名誉教授をお招きし、研究会会員の田原祐子氏と共に、DX の本質と取締役会のあるべき姿について掘り下げていただきました。

2021/03/01

【第121回月例勉強会】KAM 早期適用の事例/KAM への期待と課題 ~監査人、経営者、監査役等、利用者の視点から~

■講師:水口啓子氏(株式会社日本格付研究所 審議役)

■講演内容:
監査基準の改訂により、2021 年 3 月期決算より監査報告書への「監査上の主要な検討事項」(KAM: Key Audit Matters)の記載が義務付けられることとなりました。2020 年 3 月期には 40 数社の監査報告書において KAM の早期適用がされており、多くの会計上の見積りにおいて複雑な判断が伴う中、監査人は、会計監査に関するリ スクなどについて情報発信することが期待されています。 監査上のリスクの高さ、経営者の重要な判断が含まれる程度や、財務諸表にとって重要な事象か否かなどを総 合的に勘案し、監査役等との協議を経て最終的に監査人が選定する KAM について、監査人がどのように判断 し、どのような手続をしたのかは、ガバナンスの観点からも注目すべきポイントです。KAM は事業等のリスク と密接な関係を有する内容を含むものであり、企業の開示姿勢が試されます。 今回のセミナーでは、日本格付け研究所 審議役の水口氏をお迎えし、KAM 導入の背景や早期適用事例につい て詳しく解説いただき、より良い財務報告のために投資家・アナリスト、監査人、企業の執行側、社外役員等が 果たし得る役割や今後の課題について考察しました。

■講師略歴:
上智大学大学院外国語学研究科国際関係論 専攻博士前期課程修了。JP モルガン、スタ ンダード&プアーズ、プライスウォーターハウスクーパース(中央青山監査法人)等を 経て、2005 年に日本格付研究所へ入社。同所 格付企画部長兼チーフ・アナリストとし て、保険会社を中心に信用力の評価を行い、格付基準の検討にも関与。「保険商品・サ ービスの提供等の在り方に関するWG」「保険会社のグループ経営に関する規制の在り 方WG」メンバー等を歴任。金融審議会「ディスクロージャーWG」メンバーとして、 企業と投資家・アナリストとの建設的な対話に向けた企業開示のあり方も踏まえた審 議等に関与。公認会計士・監査審査会委員、企業会計審議会委員、企業会計審議会監査 部会委員として KAM 導入の議論に関与、企業会計基準委員会「保険契約専門委員会」 「金融商品専門委員会」「ディスクロージャー専門委員会」各専門委員。 著書「変わる生保 消える生保―よくわかる「生保」大選別時代の新基準」(東洋経済 新報社、2002 年)、「本気で取り組むガバナンス・開示改革~経営者とアナリストに よる共創」(中央経済社、2020 年)

2021/01/29

【第120回月例勉強会】サステナビリティ経営の実践に向けた統合報告の利活用 ~ 新春に未来を展望する ~

■講師:久禮由敬氏(PwCあらた有限責任監査法人 パートナー)

■講演内容:
2020年のCovid-19のパンデミックは、世界のインベストメントチェーン全体、事業経営そのものに大きな変革を迫りました。ESG投資のメインストリーム化、そして、デジタルガバナンス・コードの策定やDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速等のデジタル・テクノロジーの進化は、シェアホルダー資本主義からステークホルダー資本主義への急速なシフトを可能にしました。また、個々の企業のDXがうねりとなり、社会全体のサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を後押しし、社会の在り方、ゲームルールそのものも変わろうとしています。
開示と対話の在り方も大きく変わりそうです。例えば、9月には世界経営者会議(WEF)が、”Measuring Stakeholder Capitalism”を公表し、IFRS財団が、SSB(サステナビリティ基準審議会)設立構想のコメント募集を開始しました。11月には、国際統合報告評議会(IIRC)とサステナビリティ会計基準審議会(SASB)の統合が公表されました。世界全体でのこうした動きは、企業経営にどのような影響をもたらすのでしょうか? また、企業経営者はどのように先手を打ち、持続的な価値創造を実現できるでしょうか?2021年はサステナビリティ経営もDXも、「語る」時代から、「実践する」時代へ進みそうです。今回のセッションでは、統合報告の利活用、企業グループの境界線を越えたサステナビリティ経営の行方をご一緒に展望・考察します。

■講師略歴:
兵庫県西宮市出身、東京大学経済学部卒業。経営コンサルティング会社を経て、現職。財務諸表監査、内部統制監査、コーポレートガバナンスの強化支援、グローバル内部監査支援、CAAT等によるデータ監査支援、不正調査支援、BCP/BCM高度化支援、IFRS対応支援、統合報告をはじめとするコーポレートレポーティングに関する調査・助言などに従事。内部統制最適化(Internal Controls Optimization)、データアシュアランス(Data Assurance Group)、投資家コミュニティエンゲージメント(Investor Community Engagement)、ならびに統合報告(Integrated Reporting)に関するPwCグローバルネットワークの日本窓口を担当。経済産業省 「GOVERNANCE INNOVATION: Society5.0の実現に向けた法とアーキテクチャのリ・デザイン」委員、「Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会」委員。

お問い合わせ先

一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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