セミナー

2022年 月例勉強会

2022/12/14

【第138回月例勉強会】コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)改訂版について

■講師:安藤 元太 氏(経済産業省 経済産業政策局 産業組織課長)

■講演内容:
日本企業の国際競争力の低下や、イノベーションの不振が懸念される中、中長期的な企業価値向上を実現するためには、経営者のアントレプレナーシップ(企業家精神)やアニマルスピリットが健全な形で発揮され、スピードを持ってリスクテイクできる環境を実現することや、上場企業の経営が企業価値の向上を強く意識したものであることが望まれています。取締役会は、経営陣の作成した戦略を検討し、経営の執行を支えていく必要があります。
経済産業省は、日本企業のコーポレートガバナンスの取組の深化を促す観点から「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)を2017年3月に策定、CGS研究会(第3期)において検討を進め、その議論をまとめる形で、2022年7月にガイドラインの改訂を行いました。
そこで今回は、この改訂をリードされた経済産業省の安藤元太氏をお招きし、改訂箇所を中心にご紹介いただきました。注目されるトピックスとして、投資家株主からの取締役の専任となる「Board 3.0」についても触れていただきました。

■ 講師略歴:
2004 年から経済産業省に勤務。2012 年から資源エネルギー庁及び電力・ガス取引監視等委員会事務局で電力自由化や発送電分離など電力システム改革に携わる。2016 年から産業組織課でコーポレート・ガバナンス、事業再編関係の税制改正、役員報酬税制などを担当。その後、大臣官房秘書課を経て、2020年7月から産業組織課長。

2022/11/09

【第137回月例勉強会】実務と法律面から見た社外取締役の課題 ~受け入れ企業と就任側の両面から~

■講師:奥野 一成 氏(農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役 兼 最高投資責任者)

■講演内容:
パンデミックや気候変動など企業を取り巻く環境変化の不確実性が増す中、企業の稼ぐ力と ESG の両立を図る「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」への注目が高まっています。昨年、経済産業省が立ち上げた「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX 研究会)」において、SX の実現に向けた検討が行われ、「伊藤レポート 3.0(SX 版伊藤レポート)」では企業や投資家等に求められる具体的な取り組みが公表されました。社会の持続可能性の向上とともに、成長原資を生み出す力(稼ぐ力)の向上と更なる価値創出を実現するためには、企業と投資家の間で長期の時間軸での建設的・実質的な対話が必要となるのです。そこで今回は、SX 研究会の委員も務め、長期投資家の立場から、企業価値向上に向けた企業との対話活動を続けられている農林中金バリューインベストメンツ株式会社の奥野一成氏にご登壇いただきました。SX への取り組みを推進したい方、投資家との対話の「解像度」をより高めたい方には必見のセミナーとなりました。

■ 講師略歴:
奈良県出身。1992 年京大法学部卒、ロンドンビジネススクール ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS 証券を経て 2003 年に農林中央金庫入庫。2007 年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014 年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開。 著書に「ビジネスエリートになるための教養としての投資」(ダイヤモンド社)、「15 歳から学ぶお金の教養 先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?」(同)、「ビジネスエリートになるための投資家の思考法」(同)  「企業価値向上のための資本コスト経営」(日本経済新聞出版)他。

2022/10/03

【第136回月例勉強会】実務と法律面から見た社外取締役の課題 ~受け入れ企業と就任側の両面から~

■講師:中西 和幸 氏 (田辺総合法律事務所 弁護士)/佐竹 俊哉 氏(デクセリアルズ株式会社 代表取締役 専務執行役員)

■講演内容:
昨今、企業にとって社外取締役対応が重要な課題の一つとなっています。選任から就任までの手続き、取締役会や株主総会の運営など、日々、実務と法律面から多くの問題に直面しています。また、新たに就任する社外取締役にとっても、 情報収集や実務をどのように進めるかは手探りの部分が大きく、悩みや疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、日本弁護士連合会で「社外取締役ガイドライン」の作成に携わる一方、複数の企業で社外役員としてご活躍されている中西和幸氏にご登壇いただき、実務と法律の両方のご経験を踏まえてお話を伺いました。 当日は企業側のお立場から、デクセリアルズ株式会社 代表取締役 専務執行役員の佐竹俊哉氏を聞き手としてお迎えし、社外取締役の選任から受け入れ、取締役会運営等に関する課題など、実体験に基づき議論していただきました。企業経営や取締役会事務局に関わる方、社外取締役に就任されている方・予定されている方々など、幅広い皆様に向けたお話を伺うことができました。

■ 講師略歴:
 中西 和幸  氏 : 田辺総合法律事務所 弁護士 東京大学法学部卒。1995年、第一東京弁護士会登録。第一東京弁護士会総合法律研究所会社法研究部会長(2007年~2011年)、株式会社レナウン社外取締役(2010年)、オーデリック株式会社社外監 査役(2012年~2016年)、株式会社 VAZ 社外監査役(2017年~2020年)、株式会社グローバル・リンク・マネジメント社外取締役監査等委員(2018年~)、金融庁企業会計審議会監査部会臨時委員(2017年~2018年)。会社法、不正調査、危機管理、株主総会指導、M&A、金商法、金融法務、各種訴訟を主な業務とする。著書、論稿を多数手がけ、企業法務に係る多くのセミナー講師を務めている。 本年7月に「総務・事務局担当者のための社外取締役対応の現場 Q&A」(中央経済社)を出版。

佐竹 俊哉  氏 : デクセリアルズ株式会社 代表取締役 専務執行役員 1983年 中央大学法学部卒。2006年 日本政策投資銀行 企業戦略部次長、2009年スカイネットアジア航空株式会社(現ソラシドエア)取締役経営企画担当。2012年 株式会社日本政策投資銀行 地域 企画部長。 2014年 デクセリアルズ株式会社 常勤社外監査役を経て、2019年より代表取締役専務執行役員として経営・コーポレート全般を担当。2021年には同社の監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ の移行を進める。

2022/09/09

【第135回月例勉強会】監査等委員会制度の実務対応の変化と課題

■講師:清水武氏(株式会社REAPRA 常勤監査役/公認内部監査人/博士(経営法))

■講演内容:
2015年施行の改正会社法により、上場会社に社外取締役を置くことが強く勧奨されたことから、特に小規模会社にとっ ては社外役員数の要求が過大になるとの批判と、指名委員会等設置会社の採用数が少ない実情を考慮して、監査等委員会制度は、監査役会制度と三委員会制度の中間的な「ハイブリッド形態」として設計されました。その後、徐々に同制度に移行する会社が増え、直近では 1,200社超の上場会社(全上場会社の3分の1に相当)が採用するに至りました。 そこで今回は、上場準備の過程で監査等委員会設置会社への移行の実務経験を有する講師から、監査役会設置会社及び指名委員会設置会社との比較を含め、監査等委員会制度の背景や期待を振り返るとともに、統計データを参照しながら、同制度施行後最近までに起きた実務対応の変化を整理していただき、併せて、今日的な課題にも触れていただきました。具体的には、「横滑り/数合わせ」と言われた時期から「第二世代」への移行、依然として残る欧米への説明の難しさ、改訂コーポレートガバナンス・コードの新たな要請への対応などです。 既に監査等委員会設置会社に移行された企業の方はもちろん、将来的に移行の可能性がある企業の方まで、多くの方にお聴きいただきたいセミナーとなりました。

■ 講師略歴:
1978年大学卒業後、輸送用機器メーカーに入社。経理部門所属(通算5年間の監査役スタッフ及び国内外関係会社出向を含む)後の約10年間、内部監査人及び内部監査部門長として実務 に従事。2006年米系投資ファンド会社に転じ、内部監査担当部長として、主に投資先会社のPMIを支援(別の投資先会社2社の監査役も兼務)。2012年商業施設内装会社の常勤監査役(改正会社法施行以降は常勤監査等委員)に就任。2021年起業家を支援するスタートアップ企業の常勤監査役に就任(現任)。

2022/07/21

【第134回月例勉強会】事業ポートフォリオマネジメントと 資本コスト経営の実践 ~コーポレートガバナンス・コードが求める取締役会の役割~

■講師:神崎 清志 氏(株式会社クレジット・プライシング・コーポレーション プリンシパル/経営学博士)

■講演内容:

経営環境の激変を背景に、持続的な企業価値の向上を実現するための経営資源の最適配分が重要課題となる中、取締役会に求められる役割も大きく変わりつつあります。昨年公表された改訂コーポレートガバナンス・コードには、経営戦略等の策定・公表に当たり、事業ポートフォリオに関する基本的な方針および見直しの状況について分かりやすく示すべきであること、取締役会は事業ポートフォリオ戦略の実施状況について経営陣に対して実効的に監督すべきであることが記載されました。事業ポートフォリオマネジメントにおいては、事業別の将来の資本収益性分析や企業価値評価は、全ての取締役が理解し、考察と検証を行うことが求められます。「よく知らないことは外部に委託する」という受け身の姿勢ではなく、取締役会が先導しながら、社内で重要事項に関する分析を簡便かつ能動的に行うことが必要となるのです。今回のセミナーでは、事業ポートフォリオマネジメントとそれを実践するための取締役会の対応について解説していただきました。また、これらを実現する最先端のツールの活用方法についてもご説明いただきました。

■ 講師略歴:
東京大学工学部卒。東京大学大学院 工学系研究科工学修士。首都大学東京大学院 経営学博士。株式会社日本長期信用銀行にて、デリバティブ商品開発に従事。野村證券金融研究所、AIFAMアセットマネジメントなどを経て2009年より現職。金融商品バリュエーション、金融モデリング、リスク管理モデル開発など、一貫してクオンツ系業務に従事する。【著書】 本年2月に、松田千恵子氏との共著「事業ポートフォリオマネジメント入門 ―資本コスト経営の理論と実践」(中央経済社)を出版。

お問い合わせ先

一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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