2025年 月例勉強会
2025/05/19
今後の勉強会スケジュール
【第163回】2025年6月4日(水)16:00~17:30
※ 今回のみ会場が新橋となります。
■ 題目:会社機関設計の選択 ~監査等委員会設置会社と今後の方向性~
■ 講師:高橋 均 氏(獨協大学 法学部 教授)
【第164回】2025年7月31日(水)16:00~17:30
■ 題目:(仮題)グローバル内部監査基準について
【第165回】2025年9月25日(木)18:00~19:30
■ 題目:(仮題)インテグリティについて
>> 過去の勉強会活動実績の一覧は、下記リンクよりご覧いただけます。
2025/05/13
【第162回月例勉強会】日本の資本市場と投資銀行の課題 ~上場中堅・中小企業のガバナンス高度化に向けて~
■講師:渡邉 佳史 氏(ストームハーバー証券株式会社 代表取締役社長)
■講演内容:
東京証券取引所(東証)は2022年4月に市場区分を再編し、プライム、スタンダード、グロースの3市場を設立しました。この改革は企業の持続的成長と中長期的な価値向上を促すためであり、特に「資本コストや株価を意識した経営」を全ての上場企業に求めています。しかし、日本の証券界は投資銀行機能が不足しており、中堅・中小企業への支援が充分ではない現状があります。特に大手証券では収益性重視の経営方針により、小規模案件への対応が限定されているため、成長のための資金調達手法やM&A戦略等の提案が進んでいません。投資銀行インフラが限定されている我が国では、経営陣が資本市場に対する意識を常に持ち、対応していく必要があります。
また、上場手続きや維持のコスト、開示の手間の観点から、MBO等で非上場化する動きも散見されますが、我が国では米国に比べると非上場会社の資金調達手法が極端に少ないという現実もあります。会社の永続性の観点からも、資本市場や資金調達手法について金融機関だけに依存する事なく、企業の経営陣が日頃研究する必要があります。
今回のセミナーでは、上場中小・中堅企業における資本市場への対応にスポットを当て、取締役会においてどのように投資銀行活用の意義を理解し推進すべきか、また社外取締役はどのように関与すべきか議論しました。
■ 講師略歴:
1988年 早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。同年、ソロモン・ブラザーズ(現シティグループ)入社。以降、投資銀行部にてニューヨーク、東京で金融機関担当のカバレッジとして金融機関の資本調達、証券化並びにM&A業務に従事。特に1990年代は邦銀のバーゼル規制に対応する資本調達、2000年代は邦銀の資本調達、公的資金の返済及びIPOに関わる引受業務を数多く手がける。2006年日興シティグループ(当時)投資銀行本部金融法人部ヘッド。2010年 UBS証券投資銀行本部金融法人部ヘッドとして入社後、投資銀行本部共同本部長。大手事業法人及び金融機関のM&A、株式・債券引受、IPOに関わる。2013年 投資銀行本部副会長。2014年 ストームハーバー証券代表取締役CEOに就任。
2025/04/16
【第161回月例勉強会】コーポレートガバナンス新時代の経営人材育成
■講師:齋藤 卓爾 氏(慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授)
■講演内容:
第2次安倍政権下で実施されたコーポレートガバナンス改革により、日本企業の取締役会、株式所有構造を巡る状況は大きく変化しました。2015年に施行されたコーポレートガバナンス・コードに伴い、社外取締役を選任するのは当然のこととなり、今や多くの上場企業では独立社外取締役が取締役の3分の1以上を占めるようになりました。また、株式所有構造を見ると、政策保有株の売却が進んでいること、変わって機関投資家の影響が強くなっていることが日々報じられています。
そこで今回のセミナーでは、コーポレートガバナンスを実証的に研究されている講師をお迎えして、ガバナンス改革に伴うこれらの変化が、企業行動、業績、経営組織にどのような影響を与えたのかを解説いただきました。中でも、講師が特に注目しているのは経営者選任の変化です。コーポレートガバナンス、とくに取締役会の最も重要な役割の一つは経営者の選解任であり、コーポレートガバナンスの変化は経営者選任に大きな影響を及ぼすと考えられます。1990年以降の日本企業の社長の属性を検証することによる経営者選任の変化についても見ていきました。
より一層のガバナンス強化のためには監督と執行の分離が重要課題であり、社長のみならず、経営執行陣(CxO)の育成についても、取締役会が継続的にコミットすべき段階に来ています。これからの経営人材育成を進めるために重要なものは何かを考える機会となりました。
■ 講師略歴:
2000年 一橋大学経済学部卒業、2001年 同大学大学院経済学研究科修士課程、2004 年博⼠課程修了 博⼠(経済学)。2004年 日本学術振興会特別研究員(PD)、2007年 京都産業大学経済学部講師、2009年 同大学経済学部准教授。2012年 慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授、2023年 同大学大学院経営管理研究科教授。【専攻】 コーポレート・ファイナンス、コーポレートガバナンス、企業経済学 【研究】 取締役会、経営者のインセンティブ、ファミリービジネス、M&A に関する実証研究 【執筆物】 “Corporate Governance reforms under Abenomics.” T. Hoshi and P, Lipscy, (Ed.)., Political Economy of the Abe Government and Abenomics Reforms, Cambridge University Press, Cambridge, March 2021 (with H. Miyajima)、「企業統治改革のインパクト-政策保有株の縮小と資本効率の改善は実現したのか」〔上〕〔下〕(宮島英昭と共著)旬刊商事法務,2336号(2023年9月)/2337号(2023年9月) など。
2025/03/27
【第160回月例勉強会】コーポレートガバナンスとITガバナンスの同期
■講師:
■講演内容:
2023年4月26日、経済産業省公表の「システム監査基準」及び「システム管理基準」が改訂されました。この「改訂システム管理基準」の特徴は前文において、ITガバナンスをコーポレートガバナンスと同期するものとしていることです。更にITガバナンスを「取締役会等が組織体のITシステムの利活用に関して責任を負う領域」と捉え、「経営者がITシステムの利活用について責任を負う領域」であるITマネジメントと明確に区別しています。また大量かつ多元的な情報の経営資源としての利活用を最適化すべく、情報システム全体を計画から廃棄に至るライフサイクル全体として管理することが「ITシステムの利活用」の前提であることも示唆しています。
そこで今回のセミナーでは、当該分野に造詣の深い石島教授をお招きし、① 組織体の目標を含むIT戦略(ITガバナンス方針とIT基本計画)、② 必要な実行組織の設置と適切な権限委譲、③ 経営者による実行状況のモニタリングの3点に着目し、取締役会等が果たすべきITガバナンスに係る役割について、事例を交えながら解説していただくこととなりました。
当日は、当研究会代表理事の大谷剛との対談を通じて、参加者の皆さまと議論しました。
■ 講師略歴:
1980年、中央大学商学部会計学科卒業。1983年、公認会計士登録。監査法人サンワ東京丸の内事務所(現有限責任監査法人トーマツ)、株式会社オービックビジネスコンサルタントを経てセンチュリー監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)入所。1998年、同代表社員。2003年、大阪成蹊大学現代経営情報学部(現経営学部)助教授。2007年より法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授(現在に至る)。2003年より三栄源エフ・エフ・アイ株式会社社外監査役、2010年よりアルテ監査法人パートナー、2012年より金融庁契約監視委員会委員(2023年より委員長)、日本金融監査協会事務局長、2017年より巣鴨信用金庫非常勤理事、2019年よりシステム監査学会会長(2023年6月まで)、株式会社未来樹脂社外取締役等を兼務。2022年経済産業省・システム監査に関する検討会座長(2023年3月まで)。
2025/01/08
【第159回月例勉強会】コーポレートガバナンス・コード10年の振り返りと今後の展望
■講師:油布 志行 氏(金融庁 企画市場局長)
■講演内容:
2015年、我が国におけるコーポレートガバナンス・コードの導入は、日本経済停滞の打開を狙ったものでしたが、取締役会や内部統制の役割、成長戦略、事業ポートフォリオ見直し、企業価値・資本コストや人的資本重視など、日本企業の経営改革への多大なインパクトを与えるものとなりました。
当時、コーポレートガバナンス・コードの導入を金融庁の企業開示課長としてリードされた油布志行氏は、10年目となる2024年夏の金融庁人事で企画市場局長に就任され、再び日本のコーポレートガバナンス改革に深く関わられることとなりました。今回のセミナーでは、コード導入時の油布様の想いや工夫されたこと、2回にわたる改定についてのレビュー、また2024年に発表になったアクションプランの概要について、座談会方式でお話しいただくこととなりました。セミナーの後半はご出席の皆様との討論の場を設けます。アクションプランで示された取り組み課題と、その先にある社外取締役多数のボード、「監督」と「執行」の双方の強化、内部監査の機能充実などの課題について、実践されるお立場にある皆様からご意見をいただきながら議論を深めました。
■ 講師略歴:
1989 年大蔵省入省。1999年から2001年まで金融監督庁・金融庁に勤務。2004年から4年間にわたりOECD(経済協力開発機構)で国際公務員として勤務し、アジア諸国の企業統治プロジェクト等を担当。2012年からは金融庁総合政策室長として NISA の導入を担当。2013年から 2015年まで同庁企業開示課長を務め、「日本版スチュワードシップ・コード」「コーポレートガバンナンス・コード」の策定を担当。2015年からは総合政策担当参事官としてつみたて NISA の導入に携わる。2018 年監督局審議官 (地方銀行担当)、2019 年企画市場局審議官(開示・企業統治担当)、2020 年同(市場担当)、 2021 年証券取引等監視委員会事務局長、2023 年総合政策局長。2024 年 7 月より現職。 東京大学法学部卒業、コロンビア大学(国際関係論修士)。