セミナー

2023年 月例勉強会

2023/12/06

【第148回月例勉強会】コーポレートガバナンスの領域での経験談 ~社外取締役としてどう考え、どう行動してきたか~

■講師:八木 和則 氏(元 横河電機株式会社 取締役)

■講演内容:
取締役会の機能がモニタリングボードに移行する中、社外取締役の役割とコミットメントは更に重要性を増しています。2023年を締め括る今回のセミナーでは、長年にわたり、その最先端でご活躍されてきた八木和則様をお招きして、実体験に基づく貴重な事例をお話しいただくこととなりました。講師の八木様より皆様へ、下記のメッセージをいただきました。
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私は2011年から2023年までの12年間で、5社(現在プライム市場上場)の社外取締役・監査役を累計35期務めてきました。この間に指名委員会委員長、取締役会議長にも就任しました。社外役員就任期間中の2015年にコーポレートガバナンス(CG)コードが策定され、その後数回改訂されてきました。CG改革の黎明期から取締役会の現場を経験してきたことで、社外取締役として何をすべきかはおおよそ理解していましたが、自分として何ができるのか、何処までできるのかは当初は手探りの状況でした。実践してきたことは資本市場の期待に照らして決して充分ではありませんでしたが、学習と経験を踏まえて自分の役割が広がっていることを感じてきました。今回の研究会は識者による講演ではなく、私が実践してきた社外取締役活動の軌跡の事例発表として聞いていただき、皆様と忌憚のない意見交換を行うことで皆様の今後の活動の参考となれればと願っております。
最後に、市井の社外取締役卒業生として在校生の皆様方にエールを贈ります。
「社外取締役は企業価値を守る用心棒たれ!」

■ 講師略歴:
1949年4月1日生まれ。1972年4月 株式会社横河電機製作所(現 横河電機株式会社) 入社。1992年7月 経理部長、1999年10月 執行役員、2001年6月 取締役(2011年6月退任)に就任。2011年6月 顧問(2015年6月退任)、同年 株式会社横河ブリッジホールディングス 社外監査役(2023年6月退任)。2012年6月 JSR株式会社 社外取締役(2017年6月退任)、2013年6月 TDK株式会社 社外監査役(2018年6月退任)、2014年3月 応用地質株式会社 社外取締役(2019年3月退任)、2017年6月 双日株式会社 社外監査役(2022年6月退任)、2018年6月TDK株式会社 社外取締役 (2021年6月退任)。

2023/11/09

【第147回月例勉強会】社外取締役向け研修・トレーニングの活用について

■講師:善本 聡 氏(経済産業省経済産業政策局産業組織課 課長補佐)

■講演内容:
昨年7月に改訂されたCGSガイドラインでは、社外取締役が増加傾向にある中、ガバナンス改革を推し進める上で、社外取締役の意識を変え、資質を向上させていくことがこれまで以上に重要となっており、社外取締役が研修等を通じた自己研鑽の努力や企業が個々の社外取締役に適合した研修機会の提供・斡旋や費用の支援を行うことが必要であることが示されました。また、社外取締役の質の向上がコーポレートガバナンス改革の実質化の鍵となることから、CGSガイドライン改訂に向けて開催されたコーポレート・ガバナンス・システム研究会(第3期)の議論においても、今後の検討課題のひとつとして、「研修コンテンツの充実化」が挙げられております。今回のセミナーでは、それらの内容を踏まえ、コーポレートガバナンス改革の現状や社外取締役の役割・責務を改めて確認しつつ、経済産業省が本年6月に公表した「社外取締役向け研修・トレーニングの活用の8つのポイント」と「社外取締役向けケーススタディ集」の概要について解説していただきました。

■ 講師略歴:
大学卒業後、大手信託銀行に入社。企業年金の営業、企画業務に従事した後、総合系コンサルティング会社を経て、コーポレートガバナンス領域を専門とするコンサルティング会社に入社し、役員の指名・報酬領域を中心としたコンサルティング業務に従事。その後、経済産業省に出向し、コーポレートガバナンス改革や役員の指名・報酬領域に関する政策を担当。

2023/10/18

【第146回月例勉強会】英国におけるコーポレートガバナンス改革の動向 ~英国コーポレートガバナンス・コード改訂案の内容と背景 30余年の歴史からの学び~

■講師:隈部 兼作 氏(ロシア・ユーラシア政治経済ビジネス研究所 所長)

■講演内容:
昨年2月24日に始まったウクライナ侵攻から早くも1年半が経過しました。現在も停戦の見通しは立っていないばかりか、紛争がエスカレートし始めたとの懸念も出始めています。米国・EU・中国そしてグローバルサウスまでもが、それぞれの思惑のもと紛争に関与しようとする動きも見られます。今回のウクライナ侵攻においてプーチン大統領をはじめとするロシア側を非難することは当然ですが、日本のマスコミは「何故、ロシアはウクライナに侵攻したのか」「何故、紛争を未然に防げなかったのか」「何故、対ロシア制裁にグローバルサウスが加わらないのか」等について掘り下げることはせず、日々、この紛争の戦況等の報道のみに終始しています。日本の企業経営やガバナンスの観点からも、昨今の複雑化したグローバル情勢を理解することの重要性は高まる一方ですが、我々がマスコミを通じて知り得る情報には限界があり、今回のロシアのウクライナ侵攻に関して、事実に基づく冷静な考察・検証をせずに、事態を正確に把握することは困難です。今回は特別勉強会として、ロシア・ユーラシア政治経済ビジネス研究所所長の隈部氏にご登壇いただくこととなりました。隈部氏が長年にわたり培ってきたネットワークを生かし、この1年半で得た情報等をもとに、マスコミでは報じられない「ロシアのウクライナ侵攻で見えてきたことと今後のグローバル情勢」についてお話しいただきました。

■ 講師略歴:
1952年生まれ、1975年早稲田大学政治経済学部卒業。同年、日本輸出入銀行(現・国際協力銀行)入行。1981年レニングラード大学国際学部留学。1997年モスクワ首席駐在員、2000年金融研究所上席主任研究員、2001年国際金融第2部(旧ソ連、欧州、中近東、アフリカ担当)部長。2005年に同行を退職、一橋大学経済研究所客員教授、ロシア科学アカデミー中央数理経済研究所客員上席主任研究員等を務める。同年、ロシア・ユーラシア政治経済ビジネス研究所を設立、代表取締役・所長に就任。日本経済新聞への寄稿、NHK、BSフジ「プライムニュース」への出演、日本記者クラブでの講演など、ロシアに関する第一人者として多方面への情報発信を行っている。

2023/09/21

【第145回月例勉強会】英国におけるコーポレートガバナンス改革の動向 ~英国コーポレートガバナンス・コード改訂案の内容と背景 30余年の歴史からの学び~

■講師:山口 峰男 氏(PwCあらた有限責任監査法人 PwCあらた基礎研究所 所長)

■講演内容:
英国コーポレートガバナンス・コードの改訂案が財務報告評議会(FRC)より2023年5月24日に公開され、9月13日までの112日間にわたり関係者より意見を募集、円卓会議セッションが予定されるなど活発な議論が進んでいます。コードの全般的な見直しが行われた前回(2018年)の改訂とは異なり、同国における近年の会計不正事件の頻発を踏まえた、政府による監査およびコーポレートガバナンスの改革に関する回答文書(2022年5月公表)の内容に基づき、特に「監査、リスク、内部統制」の領域に絞った変更の手続きが進められています。今回は、長年にわたり英国のコーポレートガバナンスの研究に従事されてきた講師をお迎えし、英国コード改訂の内容とその背景となる英国のガバナンス改革の発展経緯につき解説いただくこととなりました。英国コードを範としてきた我が国を含む世界各国への示唆についても議論しました。

■ 講師略歴:
2004年公認会計士登録。「次世代の会計および監査」をテーマとした広範な研究活動に従事。大手銀行において法人融資および本部主計業務に携わったのち、監査法人入所。主に金融機関向けの監査およびアドバイザリー業務に従事し、その後、品質管理本部(金融商品会計、開示、ナレッジマネジメント担当)、英国留学(日本公認会計士協会による大学院派遣)、グローバル教育研修部門(PwC英国にてIFRS金融商品会計の教材開発に従事)などを経て現在に至る。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)(1999年)、日本簿記学会学会賞審査委員(2021年~)。

2023/07/04

【第144回月例勉強会】コーポレートガバナンス改革の潮流を読む ~CGC 改訂・東証市場再編のインパクトと日米英企業の比較を踏まえて~

■講師:山田 英司 氏(株式会社日本総合研究所 理事)

■講演内容:
一昨年のコーポレートガバナンス・コードの改訂と、昨年の東証市場再編を通じ、日本におけるコーポレートガバナンス改革は、一段と加速の様相を呈しています。特に、取締役会については、米英で浸透しているモニタリングモデルへの移行を意識し、監督機能の強化が要請されており、監督を主に担う社外取締役については質・量両面での強化が不可欠となっています。さらに、近年のサステナビリティ重視を受けて、取締役会の監督の範囲も今後はさらに拡大していくと考え られます。しかしその一方で、日本企業の対応状況はどのようになっているでしょうか。 今回のセミナーでは、日本企業の機関設計、委員会の設置状況、さらには取締役会の構成や、取締役の保有スキルなどについて、TOPIX100 企業の開示資料の分析・考察を行うとともに、米国(S&P100)・英国(TSE100)との比較を織り交ぜながら、日本企業のコーポレートガバナンス改革における現在地と、今後の課題、さらには中長期のコーポレートガ バナンスガバナンス改革の展望について考察しました。

■ 講師略歴:
早稲田大学法学部卒業、University of Wales MBA 修了、EU Business School DBA 修了。建設会 社の企画・管理部門を経て現職。現在は、グループ経営、M&A、経営管理などのリサーチ・コンサ ルティング業務を手掛ける。また、ベンチャー企業の CFO・監査役、大手機械メーカーの社外取締 役、東京都や公正取引員会の審議委員も歴任。早稲田大学理工学術院非常勤講師。著書として 『ボード・サクセッション』(中央経済社 2021)、『グループガバナンスの実践と強化』(税務経理協会2020)など。

お問い合わせ先

一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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