セミナー

2019年 月例勉強会

2019/05/17

【第104回月例勉強会】社外取締役として見た日本企業のコーポレートガバナンス ~日本社会との長年の関わりから感じたこと~

■講師:クリスティーナ・アメージャン 氏(一橋大学大学院経営管理研究科 経営管理専攻 教授)

■講演内容:

日本企業のコーポレートガバナンス改革が進む中、取締役会のダイバーシティは重要項目の一つとなっています。そこで今回は、エーザイ、三菱重工業、日本取引所グループなど複数の企業で社外取締役を務めるクリスティーナ・アメージャン教授をお迎えし、23年間にわたる日本企業との関わりや、実際に大企業の取締役に就任して感じたことをお話しいただきました。日本企業の経営や取締役会の姿がどのように変化して来たか、東アジアや欧州との比較も踏まえたご説明のほか、指名委員会、後継者計画(サクセッション・プラン)のあり方や取締役会評価など、日本企業におけるコーポレートガバナンスの課題についても詳しくお伺いしました。

■講師略歴:
1959年スウェーデン生まれ(国籍は米国)。1981年ハーバード大学卒業、1987年スタンフォード大学ビジネススクール経営学修士課程修了、1995年カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネス博士課程修了。1995年コロンビア大学ビジネススクール助教授を経て、2001年一橋大学大学院国際企業戦略研究科助教授、2004年同教授、2010年同研究科長、2012年より現職。ベイン・アンド・カンパニーと三菱電機において民間企業の勤務経験を持つ。 現在、三菱重工業株式会社、株式会社日本取引所グループ、住友電気工業株式会社の社外取締役を務める傍ら、数多くの日本企業や多国籍企業に対する研修やコンサルティングも行う。専門研究テーマは、コーポレートガバナンスや、東アジアおよび欧州、米国の資本主義の比較制度、日本企業の様相変化など。日本在住23年。母国語である英語と同様、日本語、中国語を話す。

2019/04/18

【第103回月例勉強会】「企業文化」の監査プログラム

■講師:稲垣 浩二 氏(有限責任監査法人トーマツ 包括代表補佐 公認会計士)

■講演内容:
企業は今、かつてないほど企業文化の評価に注意を払っています。ビジネス界に最も影響力をもつ思想家として知られるドラッカー氏の言葉「企業文化が戦略を朝食として平らげる」が真実であることは、何度も何度も証明されてきました。最近では、明確な企業理念と伝統と実績があり、最も敬意に値する大企業においてすら、企業文化が経営基盤を揺るがし存続の危機に陥らせる不祥事が続発しています。まさに、悪しき企業文化が不正を抑止する統制環境を食い潰していると言えるでしょう。これらを背景に、「企業文化」の監査が注目を浴びています。 そこで今回は、企業の持続的成長・存続の足かせとなる不祥事や、不正を未然に防ぐために必要な健全な企業文化を組織末端まで醸成するにあたり考慮すべき事項について、わかりやすく解説していただきました。経営者の姿勢・説明責任・効果的なコミュニケーションとチャレンジ(異議申立)などの指標を用いた企業文化の評価手法や、昨今話題になったフォーレンジック(不正捜査)監査技法についても触れていただきました。

■講師略歴:
1985年中央大学商学部会計学科卒業。1984年デロイト・ハスキンズ・アンド・セルズ東京事務所入所(合併後、現有限責任監査法人トーマツ)。1996年より米国デロイト・アンド・トウシュのニューヨーク事務所に4年間赴任。2000年日本に帰任後、2013年執行役(グローバル監査推進担当)に就任。執行役退任後の2015年にボードメンバーに就任、2018年有限責任監査法人トーマツ包括代表補佐に就任し現在に至る。代表著作は、「『企業文化』の監査プログラム(同文舘出版)」、「不正会計防止プログラム(税務研究会出版局)」。(資格)公認会計士、公認不正検査士、公認内部監査人。

2019/03/26

【第102回月例勉強会】就活ルールの廃止と新卒一括採用の行方 ~国際比較から探る日本型教育・雇用・ガバナンスの補完性~

■講師:山内 麻理 氏(国際経営学者/博士(商学)) 

■講演内容:
昨秋、経団連は就活ルールの廃止を宣言。2021年度以降は政府主導による就活ルールの適用が検討されつつも、今後はより各社の自主性を反映した採用方法が定着していくことが予想される。日本型雇用システムの背景には、新卒一括採用、内部育成、内部昇進、そして、終身雇用に伴う外部労働市場の未整備などが挙げられる。新卒一括採用や内部育成がもたらす遅い昇進は、リーダーシップの欠如や幹部候補生の不足などを通じて日本のコーポレートガバナンスにも一定の影響を与えてきた。経団連主導の就活ルールの廃止はそうした日本型雇用システムの特徴を変えるきっかけとなるのだろうか。欧米の大学生は、インターンシップやギャップイヤーを通じて職業訓練を積みながら、それぞれのペースで就職し昇進するとされる。日本の若者のキャリア形成も今後は欧米型に近付くのだろうか。そこで、今回は、欧米の教育訓練制度や雇用システムを研究している山内麻理氏にご登壇いただき、ドイツを中心に最近の欧州の職業訓練制度や大学生の就活プロセスをご紹介頂き、国際比較の視点から、日本のホワイトカラーの就職やキャリア形成の特徴とコーポレートガバナンスとの補完性について議論していただきました。

■講師略歴:
大学卒業後、主に外資系金融機関に勤務。2005年~2011年はUBS証券(2009年~銀行兼務)ウェルスマネジメント部門商品開発責任者・マネージングディレクター、2000年には、中堅ソフトウェア企業の株式公開に取締役副社長として参画。勤務の傍ら、人事や経営の研究活動に従事。主要著訳書に「ドイツ職業訓練制度の進化と変容:二極化とハイブリッド化の兆し」(2016)、『コーチングアクロスカルチャーズ:国籍・業種・価値観の違いを超えて結果を出すための7つの枠組み』(2015)など。2013年の『雇用システムの多様化と国際的収斂:グローバル化への変容プロセス』は労働関係図書優秀賞、日本労務学会学術賞を受賞。これまで、カリフォルニア大学バークレー校、フランス国立労働経済社会研究所、ドイツ日本研究所で客員研究員、同志社大学、国際教養大学で客員教授、ロンドン大学(SOAS)Japan Economy Network、日本労務学会でプログラム委員などを歴任。その他、日興アセットマネジメント株式会社 社外取締役、ヒューマンネクサスラボ代表、全日本大学開放推進機構理事など。日米欧の多国籍企業に勤務、米、英、仏、伊、ベルギー、メキシコ、ペルー、シンガポールに居住。ロンドンスクールオブエコノミクス(LSE)修士、博士(商学)慶應義塾大学。

2019/02/14

【第101回月例勉強会】中国進出企業におけるコーポレートガバナンスとコンプライアンス管理 ~子会社の統治・債権回収・労務・行政対応等の視点から~

■講師:徐 大鵬 氏(上海博京律師事務所 パートナー 弁護士)

■講演内容:昨今の中国における経済成長を背景に、中国市場への注目が高まっている。しかし、既に中国への進出を果たしたものの、本社から派遣された駐在員が現地の状況を把握し切れず、リスクを過小または過大評価したり、中国事業のノウハウが蓄積されないなど、様々な問題も発生している。その結果、進出と撤退を繰り返す日本企業も多い。
リスク管理やコンプライアンスに対するニーズが高まりつつも、法律や行政の監督が日々変わる中国においては、日系企業の中国現地法人が様々なトラブルを抱える事例が急増している。本社側は、現法とのコミュニケーションの壁を破って、現法のコーポレートガバナンスとコンプライアンス管理の課題をより正確に認識しておく必要がある。
そこで今回は、日本企業での勤務経験を持ち、日本・中国双方の企業を熟知した徐大鵬弁護士にご講演をいただくこととなった。日本本社・中国現地法人を顧問先として活躍される中で得たご経験から、中国における事業リスクに対し、どのような点に注目し如何に向き合うべきか、最新の具体的な事例を織り込みつつ、現地の体温が伝わる解説を行っていただきました。

■講師略歴:

中国律師(弁護士)、中国法学会会員、中華全国律師協会会員、在日中国律師聯合会会員。

2006年神戸大学法学研究科修了後、都内の大手企業3社(メーカー、商社及びIT企業)でそれぞれ勤務し、日本企業のグローバル進出及び中国における関連会社の管理・支援をサポート。2015年泰和泰(上海)律師事務所に参画し、同所Japan Deskを創立。2017年、渉外案件専門の上海博京律師事務所を開設。共著に「親会社が気づいていない中国子会社のリスクとそのマネジメント」(第一法規)。

2019/01/22

【第100回月例勉強会】企業統治と経済のダイナミズム

■講師:斉藤 惇 氏(一般社団法人日本野球機構 会長/KKRジャパン KKR Global Institute シニアフェロー)

■講演内容:
株式会社産業再生機構や日本取引所グループのトップとしてリーダーシップを発揮してきた講師をお迎えし、日本企業を取り巻く環境変化と企業統治の現状を俯瞰しながら、次のような思いを語っていただきました。
「企業統治の強化を求める声は多様な視点から発せられる。一部の人々は企業の行動倫理や誠実性を強く求めて、時には企業体の本質である「利益の追求」すら批判の対象にすることがある。私の求める企業統治の強化理由は順序が逆である。企業が相応の利益を出さないことには、その社会的使命と言われる納税や人の採用、引いては高邁な社会的貢献が出来ないばかりか企業経営者の社会観を喪失した利己的存在そのものが社会にとって負担になることは受け入れられない。企業の目的は健全な利益の追求である。そこでは最終的利益の姿はもとより、利益創出の過程やステークホルダーを含めた人々の幸福を追求する真摯な姿勢が問われる。」

■講師略歴:
2017年11月より日本野球機構会長。2015年8月にKKRジャパンに会長として参画、2017年12月よりKKR Global Institute シニアフェローに就任。KKR以前は、2013年1月から2015年6月まで株式会社日本取引所グループの取締役兼代表執行役グループCEOとして日本の株式市場の発展に尽力した。同社発足以前は、2007年6月より東京証券取引所の代表取締役社長、同年8月からは株式会社東京証券取引所グループの取締役兼代表執行役社長を兼任し、東京証券取引所と大阪証券取引所の統合を指揮した。野村証券株式会社代表取締役
副社長、住友ライフ・インベストメント株式会社の代表取締役社長・会長等を歴任した後、2003年4月より2007年5月まで株式会社産業再生機構の代表取締役社長として日本の不良債権問題解決や企業の事業再生に貢献した。慶應義塾大学商学部で学士号取得。

お問い合わせ先

一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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