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大手新聞社と「決算公告」 門多 丈

2024年01月22日
「決算公告」は未公開会社でも会社法上義務づけられていますが、読売新聞グループは今まで行っていませんでした。本投稿の後、読売新聞広報部より「今後は行う」旨の回答がありました。

西崎信男早稲田大学スポーツビジネス研究所招聘研究員(元住友信託銀行、元東海大学教授)が、近著「オールアバウト・ベースボール」(創文企画)に寄稿した論文「日本のプロ野球球団に観るガバナンス」の中で、(株)読売巨人軍のみならず親会社の読売新聞グループも「決算公告」を行っていないことを指摘している。読売新聞グループは、株式非公開会社ではあるが、「決算公告」は株式会社として最低限の法的義務である。これが事実であるとすると由々しき事態である。朝日新聞社は有価証券報告書で財務内容を開示している。

日刊新聞社は、「日刊新聞法」(略称)で株式譲渡制限を規定することが認められており、株式非公開会社でありうるが、新聞社グループは、広告や不動産など様々な営利事業を行っており経営、財務情報をしっかり開示すべきである。 

新聞社は「社会の公器」として、それにふさわしいコーポレートガバナンスと内部統制システムを構築し、説明する責任もある。大手新聞社の大株主が依然として創業者ファミリーであったり、かつてのワンマン経営者が院政を敷いているのは、コーポレートガバナンス上は問題だ。「旧ジャニーズ事件」の報道姿勢について、TBSが行った特別委員会の調査報告では、報道番組の編成部門が旧ジャニーズ事務所と取り引きのあった営業部門に忖度したと指摘されている。新聞社やテレビ局にはこのような密室性もあるべきではない。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2023年12月26日号「複眼」欄に投稿したものです。


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