現物株取引所の衰退を懸念す 安田 正敏
現物株取引による株式の長期保有は資本主義の核となるものです。株式の長期保有のウェイトが低くなり長期的な企業価値の向上という点に投資家の関心が薄くなっているとすればそれは由々しき問題ではないでしょうか。
取締役会にガバナンス委員会設置の動き 門多 丈
海外では「ガバナンス基準」を取締役会で議論し、確認し、決議する動きとなっている。これらの定期的なレビューも行われる。この関連で取締役会にガバナンス委員会を設置する動きがある。このような責務を果たすために必要な法的、専門的なコンサルタントの起用する予算が、取締役会に保障されるべきと定めることも注目すべきである。
ルネサス「救済」は呉越同舟 門多 丈
産業革新機構を核とするルネサス社の企業救済「日本連合」には、コーポレートガバナンス上の利害相反問題がある。投資ファンドKKRの投資を排除する目的であったとすると、国際的な批判を招く惧れもある。
社外取締役はどんな人が求められるか 安田 正敏
社外取締役に求められる資質とは何でしょうか。「その会社の事業に精通していない人」でも「好奇心を持って疑問を発し続けられる人」から与えられる外部の刺激こそがコーポレートガバナンスの機能を発揮させる大きな原動力になるのではないでしょうか。
なぜ日本企業はiPhoneを創れなかったのか 門多 丈
日本の企業経営は、先見性を持ち積極果敢にチャレンジするリーダーシップをとっているか、消費者が「わくわくする」商品やサービスを生み出す自由闊達な企業風土を創っているかが問われている。これらについて経営の背中を押すのも、コーポレートガバナンスの役割である。
続発する金融機関のスキャンダルを憂う 門多 丈
グローバルな金融機関の不祥事が続発している。経営が金融機関としての使命を忘れ、短期利益を志向し顧客利益を軽視していることが背景にある。このような経営の姿勢を正すには、社外役員が積極的に参画する取締役会でのコーポレートガバナンス体制の充実が重要と思う。
ここが正念場の、オリンパス社外取締役 門多 丈
オリンパスに対するソニーの出資・提携、テルモの経営統合などが提案されているが、そのいずれを選択するかについては株主に対する責任の点からは独立取締役がリードし決定すべきである。
スパコン開発と説明義務 門多 丈
蓮舫発言「2位ではだめなのですか」は暴論であった。真の産官学連携で国家戦略としてスパコン開発を進めるべきである。
「鶴の恩返し」と競争条件の「不公平」 大谷 清
株式再上場が認められた日本航空に対して自民党の一部の議員が「(ANAとの)競争条件が不公平な状態のままで上場を認めるのはおかしい」と批判を続けていると報道されている。公表された経営数字からJALとANAを比較する限り、ルール上の「不公平」はどこにも見当たらない。一体、「不公平」論者は会社更生法や繰越欠損金の税控除制度など法務・税務の一般ルールそのものを「不公平」と訴えているのだろうか。
インサイダー取引問題、証券会社だけの問題か? 安田 正敏
今回のインサイダー事件は、ヘッジファンドなどの一部の投資家がその倫理を踏みにじって証券会社の営業員に情報を要求し、それによって投資パフォーマンスを向上させたこと、また営業員もそれによって個人業績向上を図れたという持ちつ持たれつの構造から起きています。このような構造を断ち切るには証券会社側の情報管理体制の見直しだけでなくインセンティブ・システムを含めた管理体制全体の見直しを図ると共に、投資家側も倫理観と規律に基づいた公正な投資を行うべきだと思います。