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グローバル金融危機の教訓は自己資本規制の強化ではない 門多 丈

グローバル金融危機で大手銀行を含め多くの銀行が破綻したことを反省し、バーゼル委は銀行の自己資本の規制を引き上げる方向で検討している。今回の危機は多様なリスクが複合的に作用して深刻化したことを考えると、さらなる自己資本規制強化は論拠がない。統括的なリスク管理のあり方を検討しそのリスク・バッファーとしての自己資本のあり方を議論すべきである。

英国のコーポレートガバナンスを巡る最近の動き 安田 正敏

金融危機を契機に英国もコーポレートガバナンスの見直しに動いています。これには3つの流れがあります。機関投資家サイド、銀行業、上場企業についての見直しです。3つめのの上場企業のコーポレートガバナンスについては、取締役の継承計画が不十分なことが投資家サイドから批判されています。この論点は、日本ではコーポレートガバナンスの議論のなかで議論されていません。しかし、注目に値する論点だと思います。

JAL年金問題の創造的解決を 門多 丈

JALの年金問題は、企業再建のためには支給減額が必須とする経営陣と、年金は給与の後払いであり老後のためにも減額を拒否する受給権者が厳しく対立し、解決が難しい。根底に受給者の将来の生活への不安があることに配慮し、それを和らげるような施策も盛り込むべきではないか。一案として将来の年金支給にインフレスライド条項を設けること、減額を受け入れた受給者に対し新生JALのストック・オプションを提供することがある。

IFRSの公正価値概念とコーポレートガバナンス 安田 正敏

IFRSの時価評価主義の中心的概念が公正価値(Fair Value)ですが、この公正価値を求めるプロセスにおいては、企業経営者、あるいは財務報告作成者の裁量判断が入り込む余地が、従来の財務報告作成プロセスと比較して、格段に大きくなります。この問題を、コーポレートガバナンスの観点から見ると、そのような裁量的判断の基準が、第三者から見て、公正で合理的なものであることが担保されているかどうかということが重要になります。

銀行貸付けとコーポレートガバナンス 門多 丈

コーポレートガバナンスを多様なステークホールダー(利害関係者)の観点から考えることが重要になっている。その点での貸付け債権者である銀行と債務者の企業との関係について考えてみたい。銀行のコーポレートガバナンス執行上での株主との違いはその目的が確実な元本回収と利払いの確保にあることである。

日本も捨てたものではない 門多 丈

米国では食品などで隠れた日本ブームとか、中国やアジアでの日本の消費財は高い評価を得ている。日本の株式市場はJapan passingの中で低調であるが、日本の企業経営はこのような底辺の大きな流れをとらえ経営やビジネス、マーケティングの戦略を磨くべきではないか。

経営リスク管理 後出 大

企業経営における内部統制の評価のためにエンタプライズ・リスクマネジメントが求められ、多くの企業でリスクの洗い出しやその対応策の構築にかなりのマンパワーを割いている。しかし、会社が本来的にリスクを前提として経営されるべきものであるとするならば、「経営判断」という言葉で進められる案件に対して、監査役の対応が必ずしも容易な場合ばかりとは言えないのではなかろうか。

JR西日本だけの問題なのか? 安田 正敏

JR西日本のような経営体質(統制環境)がつくられたとき、企業内部の枠組みのなかだけで、絶対的な権力者にブレーキをかけることを期待することは無理があります。ここに、本当の意味で独立した社外の目が絶対的に必要になります。社外取締役あるいは社外監査役の議論はこの視点を抜きにしては語れません。「事業の内容の分からない社外の人間に取締役が務まるはずもない。」という議論は、この問題を矮小化した瑣末な議論といわざるを得ません。

日本航空問題はガバナンスの機能不全に 安田 正敏

決算短信では「継続企業の前提に重大な疑義を生じさせる状況が存在する」という注記を付けざるを得なくなりました。難しい言い回しをしていますが、要するに「日本航空という飛行機は墜落寸前です」ということでしょう。この問題の大きな原因のひとつがコーポレートガバナンスの機能不全ではないでしょうか。

企業の数だけ「企業価値」もある 田野 好彦

コーポレートガバナンスについては、さまざまな定義がなされているが、ここでは、当・実践コーポレートガバナンス研究会のホームページに掲げられた定義から議論を始めてみたい。当・実践コーポレートガバナンス研究会のホームページを参照すると「コーポレートガバナンスは、企業経営に係わるステークホルダーの利害の最適なバランスを図りながら、企業価値の最大化を追求するための枠組みと活動です」と定義されている。

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一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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