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株価純資産倍率(PBR)とコーポレートガバナンス 安田 正敏

「PBR1倍割れ」はその株が割安株でもなんでもなくて、その企業の経営者が株主価値を毀損していることを示しているだけです。「PBR1倍割れ企業」から「PBR1倍以上企業」への転身には不連続的な経営戦略の変革が必要で、そのためには、取締役会の強力なリーダーシップとそれを可能にする適切なインセンティブ報酬が必要になってくると思います。一方で、PBR1倍以上企業においても適切な経営のモニタリングを怠れば、企業不祥事などによって、不連続的にあっという間にPBR1倍割れ企業に転落してしまうことも肝に銘じておくことが肝要です。

アセット・バリュー・インベスターズ社のTBSホールディングスに対する株主提案について 安田 正敏

アセット・バリュー・インベスターズ社(AVI)はTBSホールディングス(TBS)の総資産の19%、金額にして1,580億円の東京エレクトロンの株式の40%を現物でTBS株主に配分することを提案しています。しかし、本質的な議論は、TBSが将来の成長に向けた戦略を用意しそのためにこれらの過剰な資産を使う明確で具体的な計画を持つことを経営陣に求めることではないでしょうか。

評価できる経済同友会の経営改革委員会の提言 「社外取締役の機能強化『3つの心構え・5つの行動』」 安田 正敏

経済同友会の経営改革委員会が5月22日に公表した社外取締役の機能強化に関する提言は、コーポレートガバナンス・コード改訂版に対して当研究会が提出したパブコメのコメント2(CEO等の役割と責任)とコメント3(内部監査の制度化)に関して、同様の趣旨の主張があります。提言で主張されている「社外取締役の機能強化『3つの心構え・5つの行動』」は、社外取締役を選ぶ会社、社外取締役本人の両面から考慮されており実践的な提言であり大変評価できます。

女性取締役候補の育成を ~道のりは遠いが地道な1歩1歩を~ 安田 正敏

2月28日の日経は近々改訂されるコーポレートガバナンス・コードが取締役会に女性がいない企業は投資家に理由を説明するよう求めることを報じています。これは極めて高いハードルですが、1歩1歩地道に社外の女性取締役候補を探していくことが現実的な解決策です。当研究会では、社外取締役候補になる意思のある女性の方々が集まり勉強会を開いたり議論を交わしたりしながら社外取締役としての知見を身に付けて頂くお手伝いもしていきます。

進展する英国のコーポレートガバナンス改革 安田 正敏

英国政府が最近発表したコーポレートガバナンス改革の骨子は、経営者の報酬開示などについて経営者と一般従業員の報酬の乖離率を開示することなど、世界でも初めての試みが盛られています。経営者の報酬を巡る議論にしても、従業員の利益の反映の施策にしても日本での議論はここまでのレベルには遠いものがあります。また、米国の企業文化からも少し離れているような気もします。今後の展開をウォッチしていく必要があります。

東芝の決算は「正常化」したか ~不透明な「限定付適正意見」~ 安田 正敏

PwCあらた有限責任監査法人の東芝の2017年3月期決算に対する「限定付適正意見」は、会計監査において経営者との意見の齟齬を持ったまま妥協としての監査意見ではなかったでしょうか。外部から見て大いに疑問の残るところです。

失敗続く日本企業の海外M&A ~その共通の原因とは?~ 安田 正敏

「日本企業による海外のM&A(合弁・買収)の88%は失敗している。10%は成功でも失敗でもどちらでもない。成功しているのは2%だけ」という日本電産の守永会長兼社長の言葉は、東芝や日本郵政のM&A失敗を目にすると非常に重みがあります。失敗の真の原因は経営者が合理的な判断力を喪失する結果となる様々な要因が絡み合っているようです。

東芝の隠蔽体質と社外取締役の責任について 安田 正敏

今年2月14日に公表された「添付資料に含まれる財務数値は、独立監査人によるレビュー手続き中であり、大きく修正される可能性があります」という注釈付きのウェスティングハウス社を巡る7,125億円という巨額損失の背景には、覆い難い東芝経営陣の隠蔽体質があります。外部の目をもってその隠蔽体質を変えることが期待された社外取締役は何をやってきたのでしょうか。東芝の社外取締役は、ウェスティングハウス社の問題に対して自分たちが社外取締役としてどのように取り組んできたのかあるいは何をすべきであったのかということを社会に公表する責任があると思います。

「相談役」について 安田 正敏

相談役と呼ばれる慣行が会社の経営に弊害をもたらすという議論が高まっています。議決権行使書助言会社であるISSは今年の株主総会の議案に対する議決権行使の新しい推奨基準のひとつとして、相談役を置くことを定める定款変更の議案については反対を推奨するということです。この相談役あるいは顧問といわれるような慣行は、コーポレートガバナンスを巡る他の様々な問題に影響を及ぼしている日本企業の文化に根差すもっと根源的な原因から派生しているのではないかと思います。

取締役の忠実義務について 安田 正敏

日本の経営者は会社法第355条(忠実義務)の意味するところを、渋沢栄一翁の次のことばとともに、じっくり考えてそれを肝に銘じてほしいものです。「もしそれが自己のためにはならぬが、道理にも契(かな)い、国家社会をも利益するということなら、余は断然自己を捨てて、道理のある所に従うつもりである。」
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一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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