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女性取締役候補の育成を ~道のりは遠いが地道な1歩1歩を~ 安田 正敏

2018年02月28日
2月28日の日経は近々改訂されるコーポレートガバナンス・コードが取締役会に女性がいない企業は投資家に理由を説明するよう求めることを報じています。これは極めて高いハードルですが、1歩1歩地道に社外の女性取締役候補を探していくことが現実的な解決策です。当研究会では、社外取締役候補になる意思のある女性の方々が集まり勉強会を開いたり議論を交わしたりしながら社外取締役としての知見を身に付けて頂くお手伝いもしていきます。
2月26日の日経の社説のひとつは「多様性に富む取締役会で経営に強さを」という主張でした。「東証1部上場企業の9割が2人以上の社外取締役を選任している」という状況の中で次は、「性別や国籍、年齢などの取締役会の多様性は世界の潮流であり日本のガバナンス改革も取締役会の多様性を目指すべきである」という主張です。また、2月28日の日経は近々改訂されるコーポレートガバナンス・コードが取締役会に女性がいない企業は投資家に理由を説明するよう求めることを報じています。
筆者は、社外取締役に適性をもった女性が選任されることが取締役会に多様性をもたらし異なる視点での経営の監督が可能になるというこの主張には全く同感します。しかしながら、現実に目を向けると改訂が予想されるコーポレートガバナンス・コードが求めるものは、残念ながら極めてハードルの高い要求であることは否定できません。上場会社3,602社(一部上場会社は内2068社)のうちどのくらいの会社が女性取締役を選任しているかというと、日経の報道によれば、監査役を含む「役員」に占める女性の割合は2017年に3.7%でしかありません。一部上場会社では25%の会社が女性の取締役を選任していると報道しています。ということは一部上場会社だけを見ても50%の会社が女性の取締役(社内、社外を問わず)を選任するには、追加で約500社(2,068社 x 25%)、1社1人として500人の新しい女性の取締役候補が必要になります。社内取締役の将来候補となる女性管理職の状況を見ると、2016年度の厚生労働省の雇用均等基本調査では部長相当の役職で女性の占める割合は6.5%ということです。
このような状況をみると、コーポレートガバナンス・コードの要求を実現していくには日本の企業社会全体の雇用慣行・文化を変えていく必要があると思います。これは長い道のりです。社内からの登用が上記のような状況から近い将来には難しいことを考えると、現在の状況の中でも1歩1歩地道に社外の女性取締役候補を探していくことが現実的な解決策です。当研究会においても、女性の社外取締役候補への相談を通じて少しずつではありますが、素晴らしい人材を発掘してきています。当研究会では、社外取締役候補になる意思のある女性を歓迎します。そういう意識を持った女性の方々が集まり勉強会を開いたり議論を交わしたりしながら社外取締役としての知見を身に付けて頂くお手伝いもしていきます。

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