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社外取締役はどんな人が求められるか 安田 正敏

2012年10月26日
社外取締役に求められる資質とは何でしょうか。「その会社の事業に精通していない人」でも「好奇心を持って疑問を発し続けられる人」から与えられる外部の刺激こそがコーポレートガバナンスの機能を発揮させる大きな原動力になるのではないでしょうか。
今年8月1日に法制審議会会社法制部会が会社法改正要綱案を公表し、その中で社外取締役の義務付けは見送られ、代わりに社外取締役を置かない場合はその理由を公表することを求めることにしたこと周知の事実ですが、東京証券取引所はこれを受けて、社外取締役を1人以上置くことを要請し置かない場合にはその理由を開示することを義務付ける規則を設けるということです。

そこで社外取締役に求められる資質とは何かということが問題になる訳ですが、社外外取締役の設置の義務付けに強く反対する意見は、概ね、「その会社の事業に精通していない人に社外取締役が務まるはずがない」ということです。

これに対し、今日(10月25日)の朝日新聞朝刊の「社説余滴」というコラムに高橋万見子記者が書いた記事が、上のような見解を否定するような社外取締役の活動を伝えていることに興味を覚えました。それは、7月末に政府が資本注入して実質国有化した東京電力の社外取締役の話です。「新体制11人の取締役中、過半数の6人は、社外から起用された。」、「普通の企業なら当たり前なのに実践されていないことや、他業界にはない運営や慣行に次々と厳しい指摘や注文が飛ぶ」ということです。もちろん、彼らは電力業界出身ではないので「その会社の事業が精通していない人」ですが、このような外部の刺激こそがコーポレートガバナンスの機能を発揮させる大きな原動力になるという例ではないでしょうか。

この点に関して思い出すのは、ライフネット生命保険の出口社長が当研究会の講師としてお話しされたなかで、「中国の故事では、漁師が鰻をとって帰る時、魚籠の中に鰻の嫌いなカエルを入れておく」という話でした。そうすると鰻が緊張して生き生きとしたまま持って帰れるということです。

また、今月の初めに東京証券取引所の斉藤社長の講演を聞きましたが、彼は、「株式市場が求める社外取締役とは好奇心のある人だ。オリンパスのケースでも、もし社外取締役が好奇心を持って、『なぜ、M&Aの買収価格がこんなに高いのか?その報酬があまりにも高いのは何故か』と問い続けていればあの不祥事はもっと早期に発見されたはずだ」と強調していたことが印象的でした。

さておりしも、2012年11月号のFACTAという雑誌に、「崖っぷちNECに『不正請求疑惑』」という記事が掲載されていますが、NECの社外取締役はこの記事にどのような好奇心を持って臨むのでしょうか。オリンパスの不祥事も、きっかけはFACTAの記事でした。

(文責:安田正敏)

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