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社外取締役の要件 門多 丈

2010年09月27日
社外取締役には独立性のみならず、何らかの知見と能力(competence)が必要である。株主にはこれらの見極めと、この基準による取締役の行動の監視が重要である。
先日、CFAジャパンと青山学院ビジネス・スクールのジョイントカンファレンス「グローバルな視点から見た日本企業のコーポレート・ガバナンス」が開かれ、IIS社のディヴィッド・スミス氏が講演の中で、取締役会のあるべき機能と社外取締役の要件についての示唆に富んだコメントをされた。同氏は議決権行使助言のISS社でアジアパシフィック調査部ヘッドとしてコーポレート・ガバナンスに関するリサーチをグローバルに機関投資家向けに提供されている。

同氏は講演の中で社外取締役には独立性のみならず、いろいろな分野での何らかの知見と能力(competence)が必要であると指摘された。同氏は株主などのステークホールダーは社外取締役についてのこれらの要件での見極めと、行動の監視が重要ともコメントされた。取締役の要件と監視のポイントとして同氏が列挙したのは;

  • 専門分野は何か?
  • 何社の取締役を務めているのか(十分な時間を割けるのか)?
  • 報告書や会計報告を読み、内部統制の理解と財務状況を監視する能力があるか?
  • 所得のうちどれくらいを当該上場企業からの報酬に依存しているか?

などである。社外取締役は独立性のみならず取締役会に何らかの貢献ができる人材であるべきとの考えである。また同氏は内部統制上の監視のポイントとして、「不正な利害関係者取引を見抜く」ことが取締役の役割として重要とコメントした。

これらの項目は今後株主総会で取締役の選任の議決権を行使する際の基準としても大変有益と思った。またこのような社外取締役としての要件は、日本ではそのまま社外監査役についても当たるとも考える。

カンファレンスで特別講演された(株)小松製作所の駒村副社長が質疑の中で、取締役会に社外取締役がいることのメリットについて面白いコメントをされた。同氏によると取締役会に社外取締役がいないときは、社長は平取締役を「お前」と呼ぶ雰囲気となる。ところが社外取締役がいるとそうは呼べず、また取締役の(議決権という)数を意識するような効果にもなるとのことである。(株)小松製作所の実例として、社外取締役に銀行出身者がいることでメーカーである同社の経営陣の金融・財務の面でのセンスは大いに良くなったとのコメントもあった。

(文責:門多 丈)

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