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民主党にガバナンスを語れるのか 門多 丈

2010年03月08日
民主党の「公開会社法の提言」に基づいて、会社法制の見直しが始まるという。小沢「社長」の暴走に歯止めがかからない政党が企業統治を語れるのか。
民主党の小沢幹事長の独断専行ぶりは、取締役会・監査役会や従業員を無視しワンマン経営を進めている社長のそれに類似する。株主(民主党政権を選んだ国民)の意向は無視され、監査・監視のための社外の独立役員の導入も行っていない。このような民主党が「企業統治のあり方」を語り、会社法の見直しの諮問をする資格があるのであろうか。まずは自らの襟を正すべきではないか。

企業統治の一つの仕組みである委員会設置会社のアナロジーで考えてみよう。

「監査委員会」は、民主党発足前のいくつかの政党への政府からの交付金の顛末を明らかにすべきである。機密費的に扱われ隠密裏に処理されているとしたら問題だ。小林議員への北海道教職員組合(北教祖)からの違法献金も監査の対象だ。そもそも北教祖の「プール資金」の存在自体がコンプライアンス(法令遵守)上は疑問だ。噂される小沢幹事へのゼネコンからの巨額の政治献金疑惑についても実態を調査すべきだ。

「指名委員会」は小沢幹事長関連の政治資金報告スキャンダルを調査すべきだ。たとえ検察の不起訴になっても企業統治、法令遵守の観点からの問題は明らかに存在する。民主党には政党としての説明義務が明確にある。小沢氏が幹事長として不適当と判断するならば新しい幹事長候補を決め、「取締役会」または「株主総会」に提案すべきである。

「報酬委員会」で詳しく調査すれば、民主党の役員も、日本の将来を背負う政党の役員としてはいかに報酬が低くインセンティブにもなっていない実態が明らかになるであろう。

「公開会社法の提言」にある「監査役の一部を従業員代表から選任する」は胡散臭い。組織率が低下する労働組合向けの対策という党内の事情がこの提案の背景と言われる。最終決定は法制審議会の判断に委ねることとするようだが、このような利権的な動きを許す組織こそ規律と内部統治が問われているのではないか。

以上のような問題を考えると、まずは民主党に社外の独立役員を設けることが必要と言うことになるのではないか。

(文責:門多 丈)

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