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指名・報酬諮問委員会をどう機能させるか 門多 丈

2017年03月23日
指名・報酬諮問委員会の課題は、指名、報酬それぞれの諮問に対し社外取締役が如何に効果的なアドバイスを行えるかである。そのための工夫や配慮が重要である。
コーポレートガバナンス改革の動きの中で、指名・報酬委員会を設置する企業が増えてきた。今年1月の段階で指名・報酬委員会を設置する会社は東証データベースに依ると709社(うち法定69社、任意640社)となり、昨年5月の475社(うち法定69社、任意234社)に比べてもかなりの増加である。

この中で顕著なのは、監査等委員会設置会社が任意に指名・報酬諮問委員会を設置する動きである。(企業によっては「ガバナンス委員会」などの名称を取ることもある)例えば(株)オプトホールディングスが今年4月より指名・報酬委員会の設置することを取締役会で決議した。その背景としては昨年同社の株主総会で、監査等委員会設置会社への移行議案に対し米国のフレンドリー・アクティビストのRMBキャピタル(RMBC)が反対の表明をし、他の機関投資家にも積極的に働きかけたことがある。「指名・報酬委員会を伴わない監査等委員会設置会社への移行はコーポレートガバナンスの観点から極めて不十分」が反対の理由であった。この議案は承認されたが、RMBCの保有分(約5%)を含め20%の株主が反対した。

その後もオプト社とRMBCは対話を継続し、今回の指名・報酬の諮問委員会の設置に繋がった。これはコーポレートガバナンス・コードにある「取締役会は、株主総会に於いて可決には至ったものの相当数の反対票が投じられた会社提案議案があったと認めるときは、反対の理由や反対票が多くなった原因の分析を行い、株主との対話その他の対応の要否について検討を行うべき」(補充原則1-1①)に沿った行動であり、その点でも注目に価する。

指名・報酬諮問委員会を運営する点での課題は、どのように社外取締役がイニシャティブを取り、審議に貢献できるかである。そのためには指名、報酬それぞれの諮問に対し社外取締役が効果的なアドバイスを行えるような工夫や配慮が必要と思う。

日本企業の場合、役員の指名(CEOなどの執行の指名)は、現状は社内からの「登用」のケースが多い。年度の初めに執行陣から今後の指名計画のブリーフィングをして貰い、1年かけて指名方針や人選についてじっくり委員会で検討する態勢が望ましい。日ごろから社外取締役が執行役員や部長などの将来の役員候補の考え、資質、仕事ぶりを観察できる仕組みも考えるべきである。日本の大企業での不祥事も続いているが、いざという時に「経営者を交替させる」ことでの指名・報酬諮問委員会の責任も重要になって来ている。

報酬については業務執行へのモチベーションの観点から、社外取締役は積極的にリーダーシップを執るべきである。株主としても期待する業績を経営にあげてもらうためには、どのような報酬の仕組の設計(短期、長期の双方の観点からの業績連動など)や報酬額のレベルを社外取締役が中心になって検討すべきと思う。今までの日本企業の役員報酬には「余り目立たないように低めにしておく(その分だけ顧問、相談役に長く残り報酬をもらう)」考えがあり、結果として株主の企業成長への期待と役員報酬制度のベクトルが一致しないようになっていたと思う。このあたりの頭の整理のためには、外部の役員報酬コンサルタントからのブリ―フィングやアドバイスを活用することも検討すべきと考える。

最近の三越伊勢丹の社長「辞任」はプロセスの透明性などでも釈然としない。事件の発端となった、経営陣の中での経営方針の違い、ビジネス・モデルや店舗政策での現場との違和感や確執について、指名・報酬委員会が事前にどこまで把握し情報を得ていたかの検証も重要と思う。

(文責:門多 丈)

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