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B.C.1177 古代グローバル文明の崩壊/エリック・H. クライン著:筑摩書房 書籍レビュー

2018年05月01日
謎の民族と言われる「海の民」によりエーゲ海、近東文明が崩壊し、後期青銅器時代が終焉したとされる。筆者は気候変動、地震、内乱、システム崩壊などが重なって「パーフェクト・ストーム」現象が起こった結果ではないかと推論する。考古経済学とも言うべき魅力的な本である。
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BC1177年は正体不明と言われる「海の民」がラムセス3世のエジプトを襲撃した年である。同時にトルコなども襲われエーゲ海、近東文明が崩壊し、後期青銅器時代が終焉した。筆者は「海の民」はその一端であるとしても、気候変動、地震、内乱、システム崩壊などが
重なって「パーフェクト・ストーム」現象が起こった結果ではないかと推論する。

本書ではその前にエジプト、ギリシャ、キプロス、シリアなどが緊密に外交、通商関係を持ち、当時としてはグローバルとも言える政治、経済圏を形成したことを粘土板資料などを詳細に分析し記述しており、考古経済学とも言うべき興味深い分析になっている。筆者は現在のグローバル化の将来についても複雑な要因が絡んで「パーフェクト・ストーム」が起こることも危惧する。

「海の民」については一つの民族ではなく、ペレセト人、チェッケル人、シャルダナ人など複数の民族集団からなるとする。「海の民」の被害者としてのヒッタイトについても詳しい記述があり理解が深まった。著者はトロイ戦争の実体はギリシャのミュケナイとヒッタイトの戦争とし、ホメロスの戯曲とは違う歴史の解釈も紹介する。

(文責:門多 丈)

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