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外交の要諦 門多 丈

2018年05月14日

トランプ政権が米国の安全保障を理由として鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置を発表した際に、世耕経済産業大臣などが「日本は米国の同盟国であるから適用除外を」と発言したが、まことに愚かな対応である。欧州諸国などは「日本だけがよい子になろうとしている」と冷ややかな目で見るであろうし、東南アジア諸国は「やはり日本はアメリカの言いなりの国」と思うであろう。


外交の要諦は緊急事態においては即座に毅然と明確な論理で対応することにある。日本は米国とは長年通商交渉の貴重な経験があり、安全保障絡みでも工作機械や核兵器関連技術などでも痛い目に遭っている。その経験を生かせば今回米国が安全保障について拡大解釈をしていることの誤りを指摘すると同時に、自由で秩序だった貿易が世界経済の繁栄をもたらすことを主張すべきである。 

また、国と国の間の経済関係を考えるには、貿易と資本収支を合わせて考えるべきである。日米の資本収支については、日本は米国の財務省証券を大量に購入しており、最近は日本の機関投資家は米国の債券・債権投資も活発に行っている。日本の自動車メーカーは米国での生産が全体の生産の3割ほどになり、米国の経済、雇用にも貢献している、と強く主張することも必要だ。 

かつてトランプ氏の大統領就任前に安倍首相が「一番乗りで」ニューヨークに同氏を訪問した。英国人の友人からは「そこまでするのか」と言われた。憂うるべき日本外交の軽率さである。

(文責:門多 丈)

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2018年4月9日号「複眼」コラムに投稿したものです。

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