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IFRSとのれん代の減損会計 門多 丈

2019年02月06日
ソフトバンクや武田薬品などの大型M&Aでは巨額なのれんがBSに計上される。IFRSはのれん代の評価についても時価主義を採用しているが、突然巨額の減損が発生する問題が潜在する。
IFRS(国際会計基準)は、M&Aのれん代(買収額と簿価の差分)の処理の見直しを検討している。具体的には毎年の決算でのれん代を「時価」で評価する「減損テスト」方式から、一定期間に毎年定額で償却する「定期償却」方式に移行すべきかを検討している。定期償却が導入されることでの、IFRSを採用しているソフトBG、JT,武田薬などの日本企業の業績のインパクトも要注意である。

IFRSでは,すべての資産や債務について、将来のキャッシュ・フローの現在価値を「時価」とし貸借対照表に反映することを原則としている。今回の見直しはIFRSのこの時価至上主義の綻びを示す。

現行のIFRSのM&A減損テストには「時価」の評価が曖昧(あいまい)で、経営者の主観に左右され得る問題がある。減損テストが毎年確実に行われていれば、のれん代の「突然の巨額の減損」が発生することはない。この背景には経営のモラルハザードがある。経営者は自分の在任中に成果を上げるべく高値でのM&Aに走ったり、業績報酬の対象である当期利益を減らしたくないために、のれん代を適正に評価し評価損をコストとして処理することを躊躇(ちゅうちょ)する嫌いがある。

このような問題を回避するためには、M&Aののれん代については定期償却処理が妥当な選択ではないか。買収の成果は毎期の利益に実現しているはずであり、それに合わせてのれん代を償却する考えである。IFRSでは一律10年間での償却を検討しているようであるが、個々の買収の事業計画に応じた合理的な年数での償却を行うべきと思う。

(文責:門多 丈)

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2018年12月24日号「複眼」欄に投稿したものです。

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