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銀行のデータ外販に疑義あり 門多 丈

2021年02月22日
銀行のデータ外販がビジネスとして成り立つのか、銀行にとって重大な資産である「顧客の信用」を揺るがすことにならないか。

メガ銀行を中心にデータ外販の動きがある。「データ利活用業務」として昨年5月の改正銀行法施行で銀行本体の付随業務として認められたことが契機になっている、ビジネスとして成り立つかの疑問と共に、顧客情報の利用の点でも検討の要がある。

顧客情報保護の点から、データは統計加工して販売すると説明されているが、有料のデータとするには、個別の顧客ニーズを十分に見極めて取り組む必要がある。この点、銀行のデータ外販がビジネスとして成立するかのマーケット・リサーチが、まずは必要であろう。人材配置や追加設備投資も必要となる。そしてこのようなコストに対し、それを上回る収益を実現できるかの経営判断も重要だ。

 

個人情報保護法上の個人情報は当該サービスでは対象でないとし、必要であれば「同意書を貰う」との説明が銀行のトップから記者会見でされたと聞く。しかしながら、法人であれ個人であれ、自分達に関わりのない形で銀行に情報を使われることに納得する顧客がいるのであろうか。銀行にとって一番大事な「顧客の信用」を揺るがすことにならないか。

 銀行としてまずは取り組むべきは、ファイヤー・ウォールの規制が緩和され、銀行、証券、投資顧問、リース、保険などグループ内の企業で情報を共有し、法人への経営支援や個人の資産形成のアドバイスの機能を充実し向上することではないかと思うがいかがであろうか。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞12月8日号「複眼」欄に投稿したものです。


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